賃上げはしたけれど ①
労務費は最大の固定費です。
そうとはわかっているものの、
世間相場からかけ離れた賃金では、人材の定着も確保もできません。
なので、中小企業も多くは何らかの形で賃上げをしています。
高コスト環境のなか、いかに賃金を上げるのか。
経営者の悩みは尽きないのです。
①インフレ手当でいつまで切り抜けるのか
「賃上げはしないといけないと思いますが、
すぐのベースアップはきついので、世間で言う“インフレ手当”
を支給することにしました。」
という中小企業経営者の声を、この半年ほどで何度かお聞きしました。
金額をお聞きすると、月額7千円~1万円程度が多いです。
「ベースアップで上げてしまうと、物価がもとに戻っても
上げた給与は下げれないから。」
というお声もよく聞きました。
では、このインフレ手当を今後、どうするのか、
という課題が残ってきます。
一時的な物価高なら、どこかでインフレ手当を打ち切ることもできます。
が、今の物価が標準になりそうなものが多く、
支給を完全に打ち切って終わり、というわけにはいかない状況です。
結局、インフレ手当を支給している会社はいずれ、
その手当額をベースアップや昇給に転嫁してゆく、
という形になりそうです。
今年度のベースアップには組み込まず、
来年度も現状の物価の流れであれば、
インフレ手当を原資に来年度のベースアップと昇給を行う。
その際には、個人別の評価をもとに昇給することになるでしょう。
いずれにせよ、労務コストは上昇することになりそうです。
しかも、インフレ手当にせよ、特別賞与などにせよ、
「支給しても社員のモチベーションが上がるのは一週間くらいですよ。」
と嘆く経営者の多いこと。
それでも、
従業員の定着や成長を図り、少子化のなか採用するには、
世間並みの給与や処遇が欠かせません。
この一年間で、販売商品の構成比率が変わり、
売上高は変らないものの、
売上総利益率が約4%伸びた会社がありました。
そのような会社であれば、労務コストのアップ分を吸収できます。
労務コスト上昇も、前向きにとらえて行動できます。
しかし、売上総利益率は伸びない、
人員は減らない、労働時間数も減らない、
ということでは、労務コスト上昇に対してネガティブになるばかりです。
今後、間違いなく労務コストは上がるのです。
それを吸収するためにも、商品力を磨き商品構成を変える、
デジタル化やシステム化、外注化により、
人員削減、労務時間削減を実現させてゆく。
といったことに、取り組んでほしいのです。
(古山喜章)
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