固定金利か変動金利か ➂
アメリカの金利が上がり、
日本の物価が上がり、日銀総裁が変わり、
銀行担当がささやいてきます。
「そろそろ日本の金利も上がりますよ。
変動ではなく、固定にされたらいかがでしょうか?」
そのささやき作戦に、悩まされる経営者が多いのです。
➂短プラでどうでしょうか
「タイボ+スプレッドの変動でお願いします、
と銀行担当に行ったら、
“変動なら、短プラ+スプレッドでどうでしょうか?”
と言ってきました。」
という社長がおられました。
正直、驚きました。
「短プラ!
そんな死語を使う銀行がまだあるんですか!」
と思わず言ってしまいました。
短プラは、「短期プライムレート」の略称です。
一年以内の短期貸付で、銀行別に定められた、
信用力の高い優良企業に貸し出す時の最優遇金利、とされています。
しかし、それは銀行が自ら言っていることです。
この10年で言えば、法人融資に短プラを使うケースは、
ほとんどみられなくなりました。
その理由は、その金利がアホみたいに高いからです。
最優遇でもなんでもないのです。
日本銀行が短期プライムレートの金利を月ごとの統計で公表しています。
その中に、「最頻値」という、銀行が最も多く使う短プラ金利があります。
それを見ると、2009年1月以降、ずっと1.475%なのです。
私たちの顧問先では、
“タイボ+スプレッドで0.3%台の金利になりました!”
などと言ってきます。
それに比べて1.475%は、べらぼうに高いのです。
しかも、先の銀行担当は、それに+スプレッドでどうですか?
とのことです。
となると、軽く1.7%以上になるはずです。
「どこが最優遇金利なんだ!」と言いたくなるのも当然なのです。
おそらく、
「短プラ+スプレッドでどうでしょうか?」と提案されて、
「わかりました。それでお願いします。」
という、中小企業の社長が、今もおられるのでしょう。
だから、そのまま通ればラッキー、
と考えて、銀行担当は短プラ+スプレッドで提案してきたのです。
そもそも、2009年以降、1.475%のまま変わらない、
ということ自体、変動金利ではありません。
はっきりいって、固定です。
結局、冒頭の会社は、
別の銀行でタイボ+スプレッドで借りることになりました。
が、現状の相場観がわかる知識や銀行交渉の智恵がなければ、
高い金利で融資を受けることになるのです。
それだけ、不要なキャッシュを流出させることになるのです。
だから、
経営者は銀行融資に関する知識を蓄えておいてほしいのです。
(古山喜章)
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