株式の譲渡承認請求書が届きました!➂
「知らない弁護士から、株式の譲渡承認請求書が届きました!」
と、ある会社の社長から、慌てた声で電話連絡が入りました。
取り急ぎ、メールで送信してもらい、内容を見ました。
見ると、配達証明付きで会社代表者宛に送られていました。
➂裁判所が決める株価は超高額です
株式の譲渡承認請求書が届き、
その文書に書かれた売り先への譲渡に反対するなら、
2週間以内に返事を届ける必要があります。
ただし、その返事には、
別の売り先を示すか、会社が買い取るか、
のいずれかを明示する必要があります。
会社が買い取る、となった場合、
1株当たりの買い取り価格をいくらにするか、です。
仮に譲渡承認請求などない状態で、
会社が少数株主当人と相対で買取価格を決めるなら、
「額面の4倍で買い取りますがどうだろうか。」
といったざっくりした交渉も可能です。
しかし、弁護士を通じて譲渡承認請求書が届いた場合、
そのような買取価格の決め方は通用しません。
売るほうはできるだけ高く売りたいのです。
基本、時価評価です。
「彼は非同族だから、会社は配当還元方式で安く買えるはずなのに、
時価評価で買い取るなんて納得ゆかない!」
といっても、あとの祭りなのです。
直近の決算書をもとに、時価評価を行うことになります。
土地、有価証券など、保有している資産を評価して算出します。
株主代理人の弁護士は通常、買取価格の10%程度を
成功報酬として受け取ります。
なので、関わる弁護士事務所も、
できるだけ高く売れるようにしたいのです。
決算書や資産の内訳明細を要求し、株価を算定するのです。
しかし、怖いのはその先です。
双方で株価を算定するものの、
買取価格の合意が得られない場合、
価格決定は裁判所に委ねられることになります。
裁判所は、DCF(ディスカウント・キャッシュフロー)
という方法で株価を算定します。
恐ろしく高い株価になります。
現状の決算書をもとに、
「いまの収益状況が継続されたら、
7年後にはこれくらいの株価になるでしょう。」
といった、将来利益を見込んだ株価になってしまうのです。
マサカの坂の可能性など、考えてくれないのです。
裁判所に至ることなく、時価評価で買い取ることができれば、
まだまし、なレベルなのです。
では、このような弁護士からの譲渡承認請求書に
対抗する策はないのか、と言えば、あるのです。
それが、種類株式の『取得条項』なのです。
続く・・・。
(古山喜章)
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