株式の譲渡承認請求書が届きました!①
「知らない弁護士から、株式の譲渡承認請求書が届きました!」
と、ある会社の社長から、慌てた声で電話連絡が入りました。
取り急ぎ、メールで送信してもらい、内容を見ました。
見ると、配達証明付きで会社代表者宛に送られていました。
①非上場の株式買取請求ビジネスが動き始めています
株式の譲渡承認請求書、というのは、
“手元にある御社の株式を売り渡したいのですが、いいですか?”
と会社にお伺いをたてる文書です。
そこにはもちろん、売りたい先の個人名や法人名も記載します。
譲渡承認請求書は、株式を譲渡する際に必要な文書なのです。
今回のケースでは、
聞いたことのない法人名が売り先の名前として、書かれていました。
今回届いた譲渡承認請求書は、弁護士から届いたものです。
本来の株主がその弁護士に依頼し、株主の代理人として、
文書を配達証明付で送りつけてきたのです。
本来の株主は、創業家の親族でした。
それも、現代表とはこの数年、折り合いの悪い親族だったのです。
その株主は、会社の株価が上がってきていることを知っていました。
もっている株式は、15%ほどでした。
15%では、株主であってもたいしたことはできません。
いわゆる、少数株主です。
この数年、
『非上場会社の株式を高価で売却できますよ。』
と書籍や広告でセールスする弁護士事務所が増えてきたのです。
『どうにもできない塩漬けになっている株式はありませんか?』
といった感じです。
ここ十年ほどは、
“消費者金融への過払い金請求”や“残業代の未払い金請求”
で稼ぐ弁護士事務所が目立ちました。
しかし、そのような需要もなくなりつつあるなか、
新たなビジネスチャンスとして目を付けたのが、
少数株主へのアプローチなのです。
非上場の中小企業には、
10%前後かそれ以下の、少数株主が存在するケースが多いです。
そして、多くの場合、放置状態になっています。
しかも、非上場会社といえども、株価が驚くほど高い場合もあります。
そのことに気づいた弁護士事務所が、動き始めたのです。
今後、どんどん増えてくると思われます。
先に紹介した事例も、文書の送り主は、
少数株主ビジネスの書籍を出版している、弁護士事務所だったのです。
経営者サイドからすれば、迷惑な話しです。
「そのうちに本人と交渉して適当な値段で買い取ろうとしてたのに、
弁護士が絡んで、やっかいな大事になってきました!」
といった案件が、私たちの周りでも、ポツポツと出てきているのです。
経営者を苦しめ、少数株主を加担する弁護士事務所は、
私たちからすれば、敵なのです。
この話しをすると、
「うちの定款には譲渡制限の項目がありますから、
そんなことにはならないですよ。」
と言われる社長がいます。
が、その認識は大間違いです。
敵である弁護士事務所は、その法の穴を狙って動いているのです。
譲渡制限項目で阻止できるのなら、弁護士事務所はわざわざ、
商売として動こうとしません。
譲渡制限はなぜ役に立たないのか、どうすればいいのか、
といったことについて、書き進めてゆきます。
(古山喜章)
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