株式の譲渡承認請求書が届きました!⑤
「知らない弁護士から、株式の譲渡承認請求書が届きました!」
と、ある会社の社長から、慌てた声で電話連絡が入りました。
取り急ぎ、メールで送信してもらい、内容を見ました。
見ると、配達証明付きで会社代表者宛に送られていました。
⑤トラブル前に、取得条項を付けておきなさい
種類株式の「取得条項」を活用すれば、
意図せぬ株式の分散や、買取価格でのトラブルを、完全に回避できるのです。
実際に、分散防止に成功した会社もあるのです。
ただし、発行済みの株式に「取得条項」を付けるには、
いくつかのハードルがあります。
1)株主総会による特別決議
種類株式の導入には、定款変更が必要です。
定款変更は、株主総会における特別決議案件となります。
そのため、
議決権の3分の2以上(66.7%以上)による決議が必要です。
3分の2未満の議決権数では、第一関門である、
定款変更ができないのです。
2)全株主の同意が必要
発行済みの普通株式を「取得条項付き」種類株式に変えるには、
1)の特別決議に加えて、全株主の同意が法務局での登記に必要です。
登記時には、株主総会の議事録と全株主の同意書を提出するのです。
このハードルが高いです。
株主が分散していて、ひとりでも同意しない株主がいれば、
発行済みの普通株式を種類株式に変えることができず、
「取得条項付き」にすることができないのです。
2つのハードルをクリアするには、
①議決権は3分の2以上を確保する。
②株主を分散させず、集約しておく。
ということが必要なのに加えて、
➂トラブル前に実行しておく。ことが必要です。
特に、全株主の同意について、
トラブルになってからでは、同意を得ることはできません。
不本意な株式譲渡や相続など、
意図しない者へ株式が渡ってしまう可能性があり得るのなら、
トラブル前の備えとして、該当する株主の同意を得て、
「取得条項付き」の種類株式に変えておきたいのです。
そうすれば、見知らぬ弁護士から、
譲渡承認請求が舞い込んでこようとも、慌てることはないのです。
何事も、備えあれば憂いなし、なのです。
(古山喜章)
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