株式の譲渡承認請求書が届きました!④
「知らない弁護士から、株式の譲渡承認請求書が届きました!」
と、ある会社の社長から、慌てた声で電話連絡が入りました。
取り急ぎ、メールで送信してもらい、内容を見ました。
見ると、配達証明付きで会社代表者宛に送られていました。
④取得条項付き種類株式の効果は絶大です
株式の譲渡承認請求書が届く・届かないに関わらず、
株式買取りでもめて裁判所に委ねられた場合、
DCF(ディスカウント・キャッシュフロー)方式で算定されます。
将来利益を見込んだ、超高い価格になります。
そのような事態を避ける方法は、
種類株式の「取得条項」という項目を、既存株式に付けておくことです。
この「取得条項」は、株式の分散防止を目的としたものです。
定款を変更して登記し、既存の発行普通株式に「取得条項」を付けるのです。
その時点で、その普通株式は種類株式に変わります。
「取得条項」を付ける場合、定款に例えばこう書きます。
“この種類株主に以下の事があった場合、会社はその株式を即座に買い取る”
とし、項目を列記します。
1)従業員・役員の地位を失った時
2)死亡したとき
3)逮捕された時
4)後見が開始された時
5)株式を第三者へ譲渡した時
6)株式の譲渡承認請求を行った時
これら記載事項に触れることが発覚した時点で、
株式は会社が買い取ることとなります。
その買取価格も、記載します。
“相続税法上の評価額で買い取る”と明確に書きます。
このように記載することで、
株式を買い取る評価方法でもめる余地がなくなります。
例えば、今回のような、譲渡承認請求が会社に届いた場合、
その文書を認識した時点で、
有無を言わさず、その株式を会社が買い取ることとなります。
買取価格も、相続税法所の評価額で決まりです。
もめることはありません。
つまり、種類株式の「取得条項」を活用すれば、
意図せぬ株式の分散や、買取価格でのトラブルを、
完全に回避できるのです。
実際に、分散防止に成功した会社もあるのです。
ただし、発行済みの株式に「取得条項」を付けるには、
いくつかのハードルがあります。
そのことについては、次回に触れさせていただきます。
(古山喜章)
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