狙われやすい、経理担当社長夫人①
千葉銀行と武蔵野銀行が、
金融庁から業務改善命令を受けました。
金融知識のない方々に、複雑な仕組債を大量に売りつけ、
銀行の利益優先に動いていたことが原因です。
スルガ銀行事件から数年で、同様の事件が起こるのです。
銀行員は常に、儲けのターゲットを探しています。
その有力候補の一角が、中小企業の経理担当夫人なのです。
①運用損失に関わりがちな、経理担当社長夫人
中小企業において、社長の奥様が金庫番、
というケースが少なくありません。
特に地方ほど、多いように感じます。
奥様も金庫番としての自意識の強い方が多く、
“私がしっかりと会社の財布を守らないと。”
という気持があだになってゆきます。
で、良からぬ商品に手を出してしまうのです。
なかでも怖いのが、いま問題になっている仕組債のような、
金融派生商品、いわゆるデリバティブ商品です。
十分な金融知識もないのに、
「利回りが他の商品よりも高く、
持っているだけで運用益がたまりますよ。」
等という銀行員の言葉に、
多くの社長夫人金庫番がだまされてきたのです。
利回りがいいのは、ハイリスク・ハイリターンだからです。
「どうしてそんな危険な商品を買ったんですか?」
と、社長夫人金庫番に聞いたことがあります。
「いやぁ、銀行員があまりにも熱心だったんで…。」
との返事でした。
銀行にとっても手数料が高く、担当銀行員の点数も上がるのです。
銀行員が必死に売り込んでくるのは、当たり前なのです。
その姿をみて、
“あれほど熱心に頑張っているんだから…”
という妙な母心で手を出してしまうのが、
社長夫人金庫番の良くないところです。
結局、“情”で動いてしまうのです。
その結果、ハイリスク・ハイリターンなので、
急激に円安になった、円高になった、どこかの銀行が倒産した、
といった環境変化が来れば、一撃でハイリスクの渦中に陥ります。
しかもそのような商品にはほとんど、
損失を確定させるデッドラインが設定されています。
「これ以上損失が大きくなる前に、
現状の損失をいったんここで確定させましょう。」
等と銀行は迫ってきます。
そうなってからでは、遅いのです。
しかもこのようなことが、取締役会もなく、
社長夫人金庫番の独断で行われていることが多いのです。
恐ろしいこと極まりないのです。
だから、奥様を金庫番にしてほしくないのです。
(古山喜章)
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