銀行融資の担保・個人保証はすぐに外しなさい①
今や銀行融資に担保も個人保証も要らない時代です。
なのに、中小企業の銀行借入において、
いまだに担保も個人保証も、みかけるのです。
銀行融資に関する思い込みを変えることができず、
不要なリスクを抱える経営者が、まだ多くおられるのです。
①銀行を取り巻く環境は180℃変わっています。
今も担保・個人保証を銀行に提供している社長に聞きました。
自己資本比率は30%を超え、財務体質は良い部類に入ります。
「どうして今どき担保や個人保証を提供するんですか?」
その社長は言いました。
「どうして、と言われましても、
そういうものだと思っていましたので…。」
その社長は年齢が70代です。
経営者の立場になって、バブル経済期を経験されています。
しかし、その当時と今では、
銀行を取り巻く環境は180℃変わっているのです。
その頃、日本はおカネが不足していました。
旺盛な消費に応えるため、どの企業も投資を増やしました。
日本国民はまだまだ若かったのです。
新しい家電や家具を買うためなら、平気でローンを組んでいました。
私も子供のころ、新しいテレビやラジカセを買うために、
父が家電店で月賦の手続きをしていたのを、覚えています。
しかも、今よりはるかに値段が高かった。
個人も企業も借金をし、需要を満たしていったのです。
なので当然、お金が足りません。
ないものを売る商売ほど、強気になれます。
まさに、銀行が優位な時代だったのです。
「銀行が貸してくれるから、商売を続けれる。」
中小企業の経営者は、銀行に頭が上がらなくなりました。
銀行が担保や個人保証を要求しようが、
お金を借りれるなら平気でした。
そのため、投資事業がうまくいかない会社は、
担保物件を銀行にとられ、経営者個人も多額の借金を負わされました。
一家離散が増え、多重債務に苦しむ自殺者もどんどん増えました。
金融庁は、そのような状況を問題視し、銀行に対して、
個人保証をとってはいけない、
担保に頼る融資をしてはならない、
との方針を、今から10年前に出しました。
しかし罰則まではなく、その方針の導入は、いまだ道半ばです。
消費の同行も変わりました。
少子高齢化となり、旺盛だった需要はどんどん縮みました。
デフレに陥り、値段はどんどん下がりました。
投資意欲のある中小企業も減りました。
日本はいまや、空前のカネ余りになりました。
借りてもらうために、銀行が頭を下げる時代になりました。
こうなると、借りるほうが強いのです。なのに、
今でも銀行は、かつてと同様、担保も個人保証も要求してきます。
とれれば銀行のリスクを回避できます。
それに何より、担保・個人保証を獲得できれば、
銀行員の点数が上がるからです。
それに、銀行を取り巻く環境が変わったのに、
「融資には担保も個人保証もいるだろう。」
と、かつての思い込みから抜け出せない経営者が多いことを、
銀行もよくわかっているのです。
結局、
今どきの銀行融資に関する知識をセミナーや書籍で学び、
実行している経営者だけが、個人保証も担保をなく、
経営に有利な銀行融資を獲得できているのです。
改めて、個人保証と担保について、書いてゆきたいと思います。
(古山喜章)
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