誤った税務脳にだまされるな②
「うちの顧問税理士事務所がこう言っているんですが、
そうなんでしょうか?」
という質問を顧問先より時折いただきます。
内容を聞くと、
「えっ!それはおかしいですよ!」
ということがよくあるのです。
経営者自身、疑問に感じるから私たちに連絡してくるのです。
世の中には、誤った税務脳をお持ちの方がおられます。
ICOは、税務のセカンドオピニオンでもあるのです。
②電話加入権を売却してはならない
30年以上の歴史のある会社なら、
そのほとんどは貸借対照表の左側、無形固定資産のところに、
“電話加入権”という勘定科目があります。
電話回線1本の契約につき、7万円前後、
加入権を旧電電公社へ支払っていたのです。
ところが、NTTとして民営化された際に、
電話加入権は施設設置負担金と名称を変え、返金は行わない、
となったのです。NTTの参考記事はこちら。
要は、財産的価値はなくなったのです。
強いて言えば、民間での取引相場ですが、
今となっては固定電話の電話加入権を売買する市場さえありません。
現状、新たに固定電話を契約する際、電話加入権など不要なのですから。
ちなみに、国税庁は電話加入権の財産評価を都道府県ごと、
1本1000円から2000円で定めています。
一方、M&Aで資産評価をするときは、価値は0円とみなします。
財産としての価値は0円、もしくはせいぜい1000円程度なのです。
貸借対照表にある電話加入権の金額からみれば、
含み損を抱えている資産、ということになるのです。
なので、子会社や経営者個人に売却し、含み損を吐き出すことを、
私たちICOでは言い続けているのです。
含み損を特別損失に計上し、税引き前利益を下げる。
課税対象額を減らし、節税に繋げるのです。
すると、
「電話加入権は売却してはいけない。」
「そんなことをしたら電話が使えなくなる。」
「電話加入権を売却なんて、聞いたことがない。」
「そんなことで節税したら、税務署から目をつけられるかもしれない。」
などと反対する、とんでもない会計事務所が、
いまもってかなりの数、存在するのです。
「売却してはいけない、などと言い出したらM&Aできないじゃないですか。」
というと、
「いや、そのときはしてもいい。」
などと、わけのわからないことを言った税理士先生もいたのです。
もちろん、電話加入権を売却する取締役会議事録を残し、
NTTにも譲渡承認請求を提出して、譲渡承認を受けるのです。
すると今度は、
「有税処理なら構わない。」と言い出した会計事務所もありました。
結局どこまでも、節税に反対なのです。
節税に加担した事務所、となりたくないのです。
顧問先である顧客のニーズをまったくわかっていないのです。
加えて、やったことがないからわからないのです。
電話加入権は売却もできれば、損失を損金計上することも可能です。
それがダメだという顧問税理士事務所なら、
他の会計事務所に変えることをお勧めしたいのです。
(古山喜章)
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