誤った税務脳にだまされるな④
「うちの顧問税理士事務所がこう言っているんですが、
そうなんでしょうか?」
という質問を顧問先より時折いただきます。
内容を聞くと、
「えっ!それはおかしいですよ!」
ということがよくあるのです。
経営者自身、疑問に感じるから私たちに連絡してくるのです。
世の中には、誤った税務脳をお持ちの方がおられます。
ICOは、税務のセカンドオピニオンでもあるのです。
④株価の高い株を額面で譲渡したらみなし贈与税がかかる
相続税対策で、高齢オーナーが所有する株式の一部を、
持株会や非同族の役員に額面で譲渡する、というケースがあります。
株価が高くなっていて、
後継者がオーナーの全株式を買うには、
あまりにも経済的負荷が高いときなどに、そうするのです。
もちろん、その際には定款変更をして、
無議決権や取得条項付きなどの、種類株式を有効活用します。
そうすることで、株式の不必要な分散を避けるのです。
ところがそのようにして、オーナー保有の株式を、
持株会や非同族役員などに譲渡しようとすると、
「そんなことをしてはいけない!」と言ってくる
顧問税理士事務所があるのです。
ある会社でのことです。
「株価が高いのに、非同族とはいえ額面で譲渡するなんて!
そんなことをしたら、買った側の人にみなし贈与税がかかりますよ!」
と税理士先生が言ってきたのです。
「どうしてですか?
非同族であれば、配当還元方式での株価になりますよね。
その計算方法でいけば、額面になりますよ。」
「それでも、節税を目的としたそのような譲渡はしてはいけない!」
と、めちゃくちゃな事を言い始めました。
「じゃあ、例えば私がオーナーから1株買うにしても、
額面で買ったらみなし贈与税がかかるんですか?」
「かかる可能性はある!」
「投資育成会社が中小企業オーナーから額面で買っている株式にも、
みなし贈与税がかかるんですか?」
「その危険はある!」
「どうしてですか?」と聞くとまた、
「同族なら高い株式を低い価格で売るからだ。」と、また元にもどるのです。
結局、その場にいたオーナーは、このやりとりを聞いていて、
「古山先生、株の譲渡をこのまま進めましょう。
あの税理士先生は、言っていることがめちゃくちゃですね。
株のことなんか何にもわかってないことが、よくわかりました。」
となり、その税理士先生とは縁を切ることとなったのです。
税理士だから税務に強い、相続に関することには詳しい、
という思い込みは非常に危険です。
誤った税務脳をお持ちのかたは、いまでもおられるのです。
そのミスリードに流されないようにするには、
経営者自身が知識を蓄え、セカンドオピニオンとなる相談相手を、
見つけておいてほしいのです。
(古山喜章)
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