なぜ会計事務所は普段と違う処理を嫌がるのか①
ICOでお手伝いをさせていただき、
決算書への記載方法などを指導した時に、
社長から次のような声を聞くことがあります。
「“そんなことをしたら不自然で目立ちますから、
税務署から目をつけられるかもしれませんよ。”
と会計事務所から言われました。」
といったものです。
①子会社で社債発行なんて聞いたことがない。不自然だ!
ある会社で、含み損のある土地があったので、
長らく休眠状態の子会社へ売却することにしました。
いわゆる、オフバランスをしよう、となったのです。
親会社は含み損のある土地を売却し、
固定資産売却損を特別損失に計上します。
売却損が出るので、課税対象利益を下げる効果があります。
その分、法人税を下げることができ、お金の流出を減らせるのです。
子会社は資金調達をして土地を買い、親会社に貸します。
その賃料で、調達した借入金の返済を進めていけばいいのです。
そしてその会社では社長が、子会社へお金を貸しました。
「私の手元資金を子会社に貸しますよ。
銀行から借りると、余計な金利が発生しますから。」
とのことだったのです。
で、その資金調達に際して、
子会社で少人数私募債を発行しました。
少人数私募債は、会社が発行する社債です。
社債は償還期限を定められます。その会社では、5年に設定しました。
償還期限を5年で定めたら、5年後の一括返済が原則です。
それまで、子会社は家賃売上を積み上げておけばよいのです。
もちろん、5年待たずに1年ごと、返しても構いません。
要は、子会社で社債を発行して資金調達することになったのです。
そこに会計事務所の税理士がモノ申してきたのです。
「小会社で社債を発行する?少人数私募債?
社長だけが引き受けてお金を出す?
そんなのは聞いたことがない。
休眠会社だった子会社が急に社債を発行するなんて、不自然だ!
そんなことをしたら、親会社の売却損の損金計上を、
否認されることになるかもしれませんよ。」
税理士先生からそう言われると焦るのが、中小企業の経営者です。
なので、その税理士先生には少人数私募債を説明し、
オフバランスの他社事例も説明し、
なんとか理解を得て無事に実行できたのです。
多くの場合、
“聞いたことがない!”“不自然だ!”となっても、
会計事務所が知らなかっただけ、
周囲にそのような事例がなかっただけ、
ということがほとんどなのです。
まずは、同じようなことを会計事務所から言われたとしても、
すんなり引き下がらないでほしいのです。
(古山喜章)
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