労務コストを削減せよ②
労務コストはまだまだ上昇します。
賃金を大幅に上げなければ、採用の応募さえない状況です。
加えて、
“今の収益状況では、賃金を上げるにも限界がある”
という中小企業がまだまだ多いのです。
これからの労務コストについて、考えてゆきます。
②労務コスト対策は業種によって異なります
労務コスト対策は、大きく4つの業種によって異なります。
1)労働集約産業
飲食・小売業、建設業、人的サービス業など。
人員数をどのように集め、早期に育てていかに定着を図るのか。
とにかく人数がたくさん必要です、という事業です。
また、集めたからと言って、現場で早期退職するようでは、
採用の自転車操業に陥ります。
早期育成のために動画やリモートを活用して教育する。
福利厚生を数的に充実させて、帰属意識を高めるなどの工夫が必要です。
2)設備集約産業
メーカー、不動産賃貸業、卸売業など。
さほど人数はいらないものの、管理人材やオペレーター
などの人員はある程度必要になります。
絶えずライバルよりも高い報酬で人を集めれるよう、
自社の設備を磨いて優位性を確保し、
十分なキャッシュを確保しておく必要があります。
定着のための仕掛けは数よりも質的な充実が求められます。
3)設備集約&労働集約産業
病院、介護、ホテル、施設サービス業など。
人数も設備も必要とする業種です。
基本、労働集約なので、ライバルよりも高い報酬であることは
もちろんですが、教育や福利厚生にも注力が必要です。
財務的には、設備を自社で持たずに別会社で持つ、
借りる、といった施策も必要になります。
数ある老舗百貨店で、単独で生き残っているのは高島屋のみです。
それは、自前で土地・建物を持たず、借りているから、
高い固定資産税などで体力を奪われず生き残れているのです。
4)知的集約産業
ファブレスメーカー、ITサービス、コンサルタント業など。
有名どころでは、アップルやキーエンスなどが
ファブレスメーカーの代表格です。ITサービスならグーグルです。
人材確保の特徴は、圧倒的な高額報酬を提示し、
優秀な人材を採用することです。
そして質的に充実した福利厚生や職場環境です。
私たちの顧問先でも、実現している会社があるのです。
大企業しかできなき、というわけではないのです。
自社の事業は1)~4)のどのタイプでしょうか。
ここを取り違えると、意味のない労務コストとなり、死に金です。
中小企業にそのような余裕はないはずです。
まずは自社がどのタイプに該当するのかを踏まえたうえで、
現状の施策を振り返って検証してほしいのです。
(古山喜章)
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