なぜ会計事務所は普段と違う処理を嫌がるのか④
ICOでお手伝いをさせていただき、
決算書への記載方法などを指導した時に、
社長から次のような声を聞くことがあります。
「“そんなことをしたら不自然で目立ちますから、
税務署から目をつけられるかもしれませんよ。”
と会計事務所から言われました。」
といったものです。
④急に売上高の内訳が増えるのは不自然だ!
損益計算書の雑収入に、家賃売上が計上されている場合、
「雑収入ではなく、売上高で計上してください。」
と指導しています。
売上高に計上すれば、その分、営業利益が増えます。
銀行借入をする場合、銀行が最も重要視するのは、営業利益です。
だから、営業利益を増やしておきたいのです。
今は無借金でも、いつ銀行借入が必要になるかわかりません。
その時には過去5年分の決算書を求められます。
だから、営業利益を増やす決算書にしておいてほしいのです。
銀行は預かった決算書を審査部に回します。
審査部は、決算書の通りにデータ入力をします。
そのデータを元に、スコアリング(格付け)が決まります。
そのスコアリング(格付け)に応じて、金利等の条件が決まります。
スコアリング(格付け)は、営業利益が関わる配点が大きいのです。
だから、雑収入の家賃売上を売上高に計上してほしいのです。
すると、
ここでも噛みつくのが顧問税理士事務所です。
「いままで雑収入なのに、急に売上高に変えるのは不自然だ!
売上高の内訳が急に増えて、税務署からは、かえって変に思われる。」
と言われました。
というケースが、これまで何度あったかわかりません。
しかし、雑収入か売上高か、どちらで計上するかは、
会社の経営判断です。
急に変えようが、
“わが社の経営判断で変更しました。”といえば終わりです。
雑収入は本来、本業以外の収入です。
受取利息、受取保険金などの場合が多いです。
そういうと、「家賃も本業以外の収入だ!」
という会計事務所がありました。
本業とは、定款の事業目的に記載されている事業すべてです。
多くの場合、そこには不動産賃貸業が記載されています。
なければ、追加すればいいのです。
なんだかんだいって、会計事務所は、
これまでの処理を変更するのが面倒でイヤなだけです。
これまで通りのやり方のほうが、楽なのです。
それに、銀行が営業利益を重視することも、知りません。
銀行交渉などしたことがないのですから、当然です。
経営者は会計事務所の根拠なき指摘に対抗できるよう、
自ら学び、財務の知識を蓄えてほしいのです。
(古山喜章)
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