なぜ会計事務所は普段と違う処理を嫌がるのか➂
ICOでお手伝いをさせていただき、
決算書への記載方法などを指導した時に、
社長から次のような声を聞くことがあります。
「“そんなことをしたら不自然で目立ちますから、
税務署から目をつけられるかもしれませんよ。”
と会計事務所から言われました。」
といったものです。
➂私募債に5%の金利なんて、不自然だ!
私たちは、少人数私募債の活用を言い続けております。
銀行から借りるより、
経営者が手元の資金を会社に貸して、金利をいただきなさい。
銀行から借りて金利を払っても、お金の外部流出になるだけです。
経営者が金利を受け取るなら、外部流出にはなりません。
また万一、資金繰りが厳しい時は、返済を延ばせます。
銀行が相手なら、返済を一時止めることさえ面倒です。
少人数私募債を活用するときには、
「金利は3%~5%くらいにしてもいいですよ。」
と申し上げています。
多くの社長は、
「そうですか。それなら5%で進めます。」
となります。
その5%に、会計事務所の税理士が噛みついてくる、
ということが、いまだに結構あるのです。
「5%?銀行借入の金利に比べたら高すぎるし、
あえて高い金利で借りるなんて、不自然だ!」
と言うのです。
そういう方は、
銀行借入と少人数私募債の違いを理解していません。
銀行は人様から預かった預金を貸します。間接金融です。
少人数私募債は自分のお金を貸します。直接金融です。
金融の種類が違うのです。
金利が異なるのは当然です。
それに、少人数私募債は弁済順位が低い、いわゆる劣後債です。
自己資本と同じなので、銀行では資本性借入金とも呼ばれます。
楽天やソフトバンクも、劣後債となる社債を発行しています。
金利は3%~5%程度です。償還期間によって異なります。
弁済順位が低いということは、償還期間が長いほどリスクも高まります。
なので、償還期間によって金利の差があるのです。
そのようなことを説明すると、
どの税理士先生も概ね、理解をいただけます。しかしそれでも、
「なぜ銀行よりも高い金利なのに、個人から借りるのか、不自然だ!」
とおっしゃる方がおられます。
会社にとったら弁済順位が低く、
万一倒産の際には返済を免れることもできます。
銀行なら、そういうわけにはいきません。
長期的な経営リスク回避を考えれば、
金利が高くても活用意義はあるのです。
何も不自然ではないのです。
少人数私募債のことを知りもせず、理解もしようとせず、
頭ごなしに「不自然だ!」というような会計事務所は、問題です。
せめて、
「どのようなものなのか、詳しく教えてほしい。」
と言ってくるくらいの会計事務所と、付き合ってほしいのです。
(古山喜章)
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