B/S(貸借対照表)の見方 大きな勘違い➂
経営者の多くは、
B/S(貸借対照表)の見方がわかりません。
それなりに理解されている経営者でも、
よくよく話していると、
「いやいや、それは違いますよ。」という、
大きな勘違いをされていることが、あるのです。
➂当座貸越を最大限に活用しています。
銀行からの資金調達が必要なら、当座貸越契約を結んでおきなさい、
と言い続けております。
当座貸越契約は、銀行と取り決めた金額を上限に、
いつでも早期に資金調達できる契約です。
5千万円、1億円など、
上限の契約金額は企業規模や財務内容によって異なります。
当座貸越契約の金額内で借りたお金は、短期借入金の扱いになります。
ある会社の社長が言いました。
「うちは当座貸越契約を最大限に活用していますよ。」
どういう意味かと思い、決算書を見せてもらいました。
すると、短期借入金がどっさりと膨らんでいるのです。
社長に聞きました。
「社長、この短期借入金が当座貸越契約の分ですか?」
「そうです。」
「この借入金額で、
契約金額上限までの残高はどれだけ残っているのですか?」
「上限いっぱいまで借りてます。」
「それは、この決算書の年度末がたまたまそうだったのですか?」
「いえ、そういうわけではなく、
絶えず上限いっぱいまで借りている状況です。
なので、当座貸越契約を最大限に活用しているんです。」
「社長、当座貸越契約は絶えず借りるためのものではないですよ。
あくまでも、一時的な資金調達のために、契約しておくものなんですよ。」
「えっ、そうなんですか!」
その後その会社の社長は、
その短期借入金の一部を長期借入金に借り換える形で、
銀行交渉を進めていきました。
そうすることで、
当座貸越契約をめいっぱい、絶えず借りっぱなし、
という状況から抜け出したのです。
当座貸越契約は、短期借入金です。
短期借入金は、一年が返済の期限です。
借りて一年が近づいてきた時点で、もう一年、
借り続ける手続きをして、転がしていくことになります。
銀行はカネ余りです。
その会社の財務状況はさほど悪くはない状況でした。
なので、銀行としては、当座貸越枠の範囲内なら、
上限いっぱいまで、借り続けてくれたほうが助かったのです。
だから平気で貸し続けていたのです。
しかし、借りている会社の財務状況が悪化すれば、
銀行は期限までで融資を辞める、ということができます。
そのような契約なのです。
いつまでも借り続けれるわけではないのです。
会社の息の根を止めるスイッチを、銀行が確保しているのです。
そもそも当座貸越契約は、
限度額までを継続的に借り続けるものではありません。
一時的な資金調達の手段なのです。
そのことを勘違いしないでほしいのです。
(古山喜章)
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