B/S(貸借対照表)の見方 大きな勘違い④
経営者の多くは、
B/S(貸借対照表)の見方がわかりません。
それなりに理解されている経営者でも、
よくよく話していると、
「いやいや、それは違いますよ。」という、
大きな勘違いをされていることが、あるのです。
④この長期借入金は私が貸しています。
貸借対照表を拝見すると、
固定負債に長期借入金がある、
という場合には必ずおたずねします。
「この長期借入金は、銀行からの借り入れですか?」
8~9割は、銀行借入です。
しかし時折、
「実はこれは私(社長)が貸しています。」
あるいは、
「銀行からの借り入れと、私(社長)が貸したのとが混ざってます。」
といったケースがあります。
そんなときは、
「それなら社長が貸している分は、
“経営者借入金”と勘定科目を変えてください。」
とお願いしています。
銀行は決算書をもとにその会社を格付け(スコアリング)します。
その際に、
“経営者借入金”としておけば、
“これは経営者が会社にお金を入れているのだな”
となり、自己資本とみなしてもらえます。
長期借入金だと、銀行借り入れとして負債の扱いになります。
そう言うと、
「銀行の人は、この長期借入金は私が貸している、
とわかってますよ。」
とおっしゃる方がおられます。
そんな場合はこう言います。
「社長、それはその人が知っているだけで、
決算書を見てデータ入力する人にまでは、伝わらないですよ。
それに、銀行は異動が多いので、
いちいちそんなことは引き継がれないですよ。」
決算書は銀行の審査部にまわり、そこでデータ入力し、
格付け(スコアリング)が自動的に決まります。
それも膨大な量の会社の決算書です。
いちいち個別の会社の内情など、
確認して反映させているひまはないのです。
見たまま、決算書にあるがまま、入力します。
それなら、社長や会長など、
経営者が会社に貸しているお金は、
勘定科目を変えて“経営者借入金”としているほうが、
確実に区別してもらえるのです。
会社の都合のいいように、
銀行が決算書を解釈してくれると思い込むのは、
大きな勘違いなのです。
(古山喜章)
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