B/S(貸借対照表)の見方 大きな勘違い①
経営者の多くは、
B/S(貸借対照表)の見方がわかりません。
それなりに理解されている経営者でも、
よくよく話していると、
「いやいや、それは違いますよ。」という、
大きな勘違いをされていることが、あるのです。
①うちの会社は実質無借金です。
「うちの会社は借入金がありますけど、実質無借金ですよ。」
そうおっしゃられる経営者に、時折お会いします。
貸借対照表を拝見すると、
短期借入金があるものの、それ以上の現預金があるのです。
「いつでも返そうと思えば、返せるだけの現預金があります。
だから、無借金と同じです。」
そう言われるのです。
しかし、無借金とは借入金がない状態のことです。
返せるだけの現預金があろうと、
借入金があるのなら、無借金ではないのです。
こんな経営者がおられました。
「いくら借入金があっても、
返せるだけの現預金があれば実質無借金だから、
遠慮なくお借りください。
短期借入金でお貸しして、期限がきたらまた継続しますから。」
銀行の支店長からそう言われて、不要なお金をずっと借り続けていたのです。
その結果、現預金と短期借入金が大きく膨れているのです。
総資産が増えているので、自己資本比率も悪くなっています。
その経営者に言いました。
「銀行は貸すのが仕事なんですから、
そりゃあ、“実質無借金”という聞こえの良い言い方をしますよ。
貸したいんですから。
それに短期借入金は支店長決裁で貸せるから、
その支店にとったら好都合なんですよ。」
「そうなんですか!
それでも、確かに実質無借金じゃないですか。」
と、その社長は言いました。
まだ分かっておられないのです。
借入金があれば当然、金利を支払っています。
実質無借金、と言いながら、
金利で稼いだお金を銀行へ流出させているのです。
銀行にいいようにされているだけです。
“実質無借金”などというのは、
銀行にとって都合がいいだけの言い回しです。
そのような甘い言葉の誘いに、
踊らされないでほしいのです。
(古山喜章)
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