B/S(貸借対照表)の見方 大きな勘違い②
経営者の多くは、
B/S(貸借対照表)の見方がわかりません。
それなりに理解されている経営者でも、
よくよく話していると、
「いやいや、それは違いますよ。」という、
大きな勘違いをされていることが、あるのです。
②うちの会社は流動比率が高いです。
流動比率とは、貸借対照表から算出する経営指標です。
1年以内に払うお金である流動負債に対して、
1年以内に使えるお金である流動資産がどれだけあるか、
を示す経営指標です。
計算式でいえば、
(流動資産÷流動負債)×100 となります。
100%は越えておいてほしい経営指標です。
流動比率が100%を越えるとは、
1年以内に使える流動資産のほうが多い、
ということです。
ところが、
「うちの流動比率は高いですよ。250%を越えています。」
と、誇らしげにおっしゃる社長がおられました。
貸借対照表を拝見しました。
みると、確かに計算すれば流動比率は250%を越えています。
しかし、在庫の金額が異様に大きいのです。
「確かに流動比率は250%を越えていますけど、
この在庫はどうしてこんなに多いんですか?」
と社長に聞きました。すると、
「いやぁ、どうしてでしょうね、調べます。」
となりました。
その結果、その在庫には、不良在庫が多数含まれている、
ということが判明しました。
「社長、流動比率が高いといっても、
資産の中身が不良資産では、なんにもなりませんよ。
不良在庫は取締役会の手続きを経て棚卸資産除却損として、
特別損失で計上してください。」
とその社長に伝えました。
しばらく後に、その社長から連絡がありました。
「言われたとおりに不良在庫は処分しました。
流動比率は160%になりました。」
「社長、それでいいんですよ。
流動比率は大きさを競う指標ではないですから。」
といったやりとりをしました。
流動比率が200%を越えるという場合、
往々にして多いのが、資産の中身に不良がある、というケースです。
使えない資産がいくらあっても、負債を減らす役には立ちません。
数字がムダに膨らんでいるだけです。
それでは意味がないのです。
その社長は、流動比率という数値だけをみて、
資産の中身を把握していませんでした。
だから、100%を越えている、というだけで満足していたのです。
経営指標の数字に踊らされるだけでなく、
その中身をじっくりと見てほしいのです。
(古山喜章)
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