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2023年11月 1日 (水)

労務コストを削減せよ➂

労務コストはまだまだ上昇します。

賃金を大幅に上げなければ、採用の応募さえない状況です。

加えて、

“今の収益状況では、賃金を上げるにも限界がある”

という中小企業がまだまだ多いのです。

これからの労務コストについて、考えてゆきます。

 

➂従来の賃金制度を捨てる時が来た

 

日本の賃金制度はこれまでほぼ、

職能資格制度による賃金制度が運用されてきました。

等級と号俸を用いる制度です。

3等級なら係長、4等級なら課長で、

その等級の号俸が上がることで昇給してゆく、という制度です。

その等級と号俸を見直すための、人事考課制度を併用する形で、

大企業から中小企業に至るまで、長らく運用され続けてきました。

 

が、どこの会社も感じているのが、

「もうこの制度では対応できない」ということです。

細かな等級要件を決め、手間のかかる人事考課を行ったところで、

実態に見合わない、という結論に至ってしまうのです。

結局、鉛筆なめなめで社長が独断で決めた賃金や手当のほうが、

仕事の出来栄えにあった感じがするのです。

 

職能資格制度による賃金制度は、年功序列です。

年齢を重ねるほど、大小の幅はあれど賃金は上がり続ける仕組みです。

しかし、

それでは若手人材を採用するに見合う賃金を設計できないのです。

つまり、若い人材が豊富で採用に困らない時代の制度なのです。

その制度で現在の労務環境に対応できるはずがありません。

そんな旧式の労務制度は捨てる時がきたのです。

 

40代、50代になっても賃金表や職能要件表に照合して昇給してゆく、

というのはやめるべきです。

時間の経過で賃金が上がってゆくのは、35歳程度までで十分なのです。

それくらいまでは、職場での習熟でスキルアップしてゆくでしょう。

しかし、それ以降となると、

仕事ができる社員とそうでもない社員が分かれてきます。

その仕事の出来栄えに合わせて、時価評価で毎年の賃金を決めてゆく、

といった仕組みにじわじわと、日本の賃金の仕組みは変わると思うのです。

加えて、役職手当はある程度のランク幅を持たせ、

どのランクか決めればいいのです。

 

人事考課も今のような、細かい評価項目まで不要です。

5項目を5ランク評価、くらいで十分です。

あとは各人が発揮した仕事内容と期待値の確認です。

プロ野球の契約更改時の交渉のようなイメージです。

これは個々に面談が必要でしょうが、

手間がかかるだけで納得感のない現在の評価制度より、よほどましです。

 

いま、日本の賃金システムは新たな時代への対応に変わる移行期です。

その変化に対応出来るよう、中小企業も現状の賃金制度を捨て、

次はどのような仕組みがよいのか、検討しておいてほしいのです。

 

(古山喜章)

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