新たな投資に備えて「銀行交渉」の力を磨きなさい②
人手不足や諸物価高騰など、
経営環境は大きく変わろうとしています。
変化に対応するには、新たな投資も必要になります。
その投資へ向けて、
改めて銀行交渉の力を磨いてほしいのです。
②交渉に強い決算書にしておく
格付け(スコアリング)の配点表で最も重視されるのは、
返済能力だと書きました。
さらにその計算式の中身を見てゆくと、
いずれにも“営業利益”という言葉が出てきます。
利益といっても5つの利益があります。
そのなかで銀行が最重視するのは、決算書の“営業利益”なのです。
ならば、決算書の損益計算書において。
営業利益が大きくなるよう、決算時に作りこむことが必要なのです。
営業利益を大きくするには、大きく二つの視点があります。
1)売上高を増やせないか
2)経費の中に、特別損失で計上できるものはないか
1)売上高を増やせないか
最もよくあるケースは、営業外収益の不動産賃貸収入です。
営業外収益は営業利益の下にあります。
その賃貸収入を、賃貸収入売上として、売上高に計上するのです。
売上高とは、本業の売上です。
本業とは、定款の目的に記載されている事業すべてです。
多くの中小企業の定款の目的には、“不動産賃貸業”が入ってます。
入っていなければ、定款の内容を追記すればいいだけのことです。
2)経費の中に、特別損失で計上できるものはないか
これは探せばいろいろあります。
・壁の塗装や設備の修繕など、数年に一度の修繕は特別修繕費とする。
・裁判に関わる弁護士費用は特別損失に計上する。
・ISOなどの認証取得・維持費用は特別損失に計上する。
・役員の退職金は特別損失に計上する。
・決算時などの特別賞与は特別損失に計上する。
・即時償却活用による上乗せ償却分は特別損失に計上する。
・大きなクレームによる、原価ロスは特別損失に計上する。
・使わなくなった機械のリ-ス料は特別損失に計上する。
などなど、要は毎年発生しない費用があれば、
特別損失に計上すればよいのです。
法的な決まりはありません。特別損失は経営判断によるものなのです。
ただ、このような決算処理を、
会計事務所まかせにすると、うまくいきません。
営業利益を重視する意味を理解していないのです。
銀行交渉などしたことがないのです。
だから、
経営者が知識を蓄えて会計事務所に依頼し、
その理由を説明し、それでも要望どおりになっていなければ、
再度の修正を依頼する、ということをお願いしたいのです。
過去の例からして、2~3年繰り返していると、
会計事務所もようやく要領を得てくるようです。
銀行交渉に強い決算書は、こうして作り上げるものなのです。
続く…。
(古山喜章)
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