新たな投資に備えて「銀行交渉」の力を磨きなさい⑤
人手不足や諸物価高騰など、
経営環境は大きく変わろうとしています。
変化に対応するには、新たな投資も必要になります。
その投資へ向けて、
改めて銀行交渉の力を磨いてほしいのです。
⑤個人保証・担保は無し、で交渉しなさい
銀行から資金調達をする際にまず伝えてほしいのは、
前回の『金利はタイボ+スプレッドで』に加えて、
『個人保証と担保は無しでお願いします。』ということです。
交渉事ですので、まずはこちらの要望を明確に伝えるのです。
「そんな要望を伝えて大丈夫でしょうか?」
と心配される社長がいまだにおられます。
要は、貸してくれなくなりませんか、と言いたいのです。
こちらの要望を伝えただけで、
貸さなくなる銀行など、いまどきありません。
それは、資金需要が多く、銀行が貸し先を選ぶ時代の話しです。
いまはその逆で、お金が余っているのです。
特に個人保証に関しては、平成26年に金融庁から
『個人保証に関するガイドライン』が金融機関に通達されています。
個人保証に頼る融資をしてはならない、と言っているのです。
もう9年前のことです。
それでもいまだに、個人保証に頼る融資が減らないのです。
現状、個人保証が必要とされるのは、
2期連続で減価償却前の営業利益が赤字の会社です。
あるいは債務超過に陥っているなど、財務状況が極端に悪い会社です。
そうでなければ、個人保証は外せるのです。
銀行に要望しても個人保証を外さない、というのなら、
「そうですか、では、
うちの財務状況で外せないのか、財務局に確認してみます。」
と伝えればよいのです。
そうなれば、銀行も慌てて態度を変える、
ということが実際に何度もあったのです。
銀行は金融庁を恐れているのです。
財務局は金融庁の下部組織となる実働部隊です。
銀行にすれば、財務局は金融庁と同じなのです。
担保についても同じです。
金融庁は銀行に、
『担保に頼らず、事業性を評価して融資しなさい』
と指導しています。
とはいえ今の銀行員で事業性を評価できる人も少なく、
結局、担保に頼った融資がまだまだ存在する、というのが実状です。
担保も、個人保証と同じく、
「金融庁からは担保に頼ってはいけない、と通達が出ていますよね。」
と交渉時に普通に伝えればよいのです。
それだけで、個人保証や担保に関して、
“この社長は無知ではない”ということが相手にはわかります。
何も知らない社長だ、と思われると、
銀行は個人保証、担保、保証協会の保証料まで、
フルコースで要求してきます。
それがすんなりと通ってしまうのです。
だからいつまでたっても、個人保証や担保がなくならないのです。
結局は、中小企業の経営者がもっと銀行交渉についての
知識を蓄えて、対抗策としての決算書を磨いてゆく、
ということに、もっと注力していただきたいのです。
新たな経営環境を乗り切るには、新たな投資が必要、
という中小企業は多いはずです。
その際に、
少しでも有利な条件で銀行からの資金調達をしてほしいのです。
(古山喜章)
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