事業承継税制だけはやめなさい⑤
今年も多くの経営者から聞いた言葉が、
「うちの税理士からは事業承継税制を勧められています」
というものです。
株価が高騰している会社であれば、
後継者への株式承継は経済負荷が大きく大問題です。
しかし、多くの経営者は事業承継税制に不安を感じています。
だから、勧められていることを私たちに伝えてくるのです。
⑤会計事務所が勧めるワケ
なぜこうも会計事務所は事業承継税制を勧めるのか。
この税制の承認を受けると、
最初の5年間は毎年、その後も3年おきに、
継続の承認を得るため、税務署への資料提出が必要になります。
おそらくそれは、会計事務所を通して提出する、
ということになるでしょう。
会計事務所にすれば、
通常の申告業務以外の新たな業務受託ということになります。
いわば、会計事務所にとっては、いいメシの種なのです。
もちろん、最初の認証取得時点においても、
それなりの手数料が発生することとなります。
税理士協会においても、
事業承継税制の活用を各会計事務所に勧めています。
業界をあげての新事業拡大を目指しているのです。
しかしです。
この事業承継税制はあくまでも、
国にとっての税の取りっぱぐれがなくなるだけです。
猶予と称しつつ、
必ずどこかで召し上げることになるのは目に見えています。
その一方で、事業承継税制を受けた側にとっては、
認定取り消しの要素があちらこちらに存在しています。
多くの会計事務所は、そのリスクの実態を把握できていないです。
“税理士協会でも勧めているから大丈夫”
“今は特例期間だからこの税制を活用するチャンス”
“○○先生も大丈夫だ、と言っていたから大丈夫”
くらいの感覚です。
リスクの詳細を理解している会計事務所は少数派です。
もし会計事務所が事業承継税制を勧めてくるのなら、
このブログで紹介したリスクを、その事務所に投げかけてほしいのです。
事業承継税制を使っての株式対策だけは、
絶対にしないでほしいのです。
本年も一年間、ありがとうございました。
年始は1月4日より、掲載をスタートいたします。
(古山喜章)
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