確定申告は自分でしたほうがよい⑤
年末時期になると、保険会社をはじめとして、
各種控除証明書が自宅に送付されてきます。
経営者の立場の方なら、
年明け2月以降の確定申告時に、これらの証明書を使うはずです。
しかし、会計事務所に丸投げにしないことです。
自分で処理するから得することも、あるのです。
⑤贈与税の申告は時期をうまく使い分けてください。
確定申告と同じ時期に行うのが、贈与申告です。
贈与を受けた人が、その内容を所轄の税務署へ申告します。
1月1日から12月31日までに贈与を受けた内容を申告します。
なのでこの贈与申告は、
贈与時期をうまく使い分けることで節税につながります。
例えば、時価評価で株価1000万円の株式を
自分の息子に贈与する場合で考えてみます。
11月1日に1000万円を全部贈与しました、
という贈与契約書を作成したとします。
その場合、贈与税は177万円です。
この額は、直系の子供への特例贈与を使っての相続税金額です。
贈与税の計算は、贈与した金額によって税率や控除額が異なります。
110万円の基礎控除を引いたあとの金額が
600万円超から1000万円以下の贈与場合、
贈与税率は30%、控除額は90万円となります。
1000万円の贈与なら計算式は次のようになります。
(1000万円―110万円(基礎控除))
×30%(税率)― 90万円(控除額)=177万円
贈与税は177万円となります。
この1000万円の贈与を、11月1日に500万円、
翌1月1日に500万円と、2回に分けて贈与したことにします。
贈与契約書を2枚に分ければいいのです。
500万円の贈与の場合、税率と控除額が変わってきます。
400万円超から600万円以下の枠におさまります。
贈与税は20%、控除額が30万円、基礎控除は変らず110万円です。
500万円の贈与なら、計算式は次のようになります。
(500万円―110万円(基礎控除))
×20%(税率)― 30万円(控除額)=48万円
贈与税は48万円です。
11月1日に500万円を贈与した分を翌年度に申告し、
翌1月1日に贈与した500万円はさらにその翌年に申告します。
1000万円を2年に分けて2回、500万円ずつ申告します。
1回の贈与税額が48万円なので、2回で96万円です。
1000万円を1回で申告すれば177万円
500万円ずつ2年に分けて申告すれば96万円です。
その差額は81万円です。
贈与を受けた息子にすれば、その差は大きな金額です。
特に株式を贈与したという場合、
銀行にお金を振り込むわけでもなく、あるのは贈与契約書だけです。
いつ贈与したかということは、契約書の日付次第です。
日付は後付けでもできます。
贈与申告の時期になってからでも、
必要あれば2年にわけて申告する、という判断も可能です。
このように、贈与申告の場合、
贈与を受けた年度時期を変えて相続税額を低くおさえる、
という方法を、うまく活用いただきたいのです。
(古山喜章)
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