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« R6年 税制改正⑤ | トップページ | 事業承継税制だけはやめなさい② »

2023年12月25日 (月)

事業承継税制だけはやめなさい①

今年も多くの経営者から聞いた言葉が、

「うちの税理士からは事業承継税制を勧められています」

というものです。

株価が高騰している会社であれば、

後継者への株式承継は経済負荷が大きく大問題です。

しかし、多くの経営者は事業承継税制に不安を感じています。

だから、勧められていることを私たちに伝えてくるのです。

 

①終わりなき猶予であり、免除ではない

 

「事業承継税制だけはやめなさい」

と私たちは言い続けております。

その理由のひとつが、納税『免除』ではなく、納税『猶予』である、

ということです。

消えてなくなるわけではなく、次世代へと先送りされるだけです。

 

「免除と書いてありましたよ。」とおっしゃる経営者がおられます。

それは、猶予された後継者が亡くなった場合に、

その亡くなった当人は免除される、という意味です。

亡くなった後は、

またその後継者が『猶予』のバトンを引き継ぐことになります。

どこまでも続く、終わりなき『猶予』なのです。

 

どこまでも続くには、手続きの継続が必要になります。

最初の5年間は、税務署へ毎年、資料の提出が必要です。

事業承継税制で『納税猶予』の要件を満たしているか、

チェックを受けることになります。

そして6年目以降は、3年に1回、提出が必要です。

終わりはありません。

『猶予』を受ける限り、延々と続きます。

少なくとも現状のルールはそうなっています。

さらなる世代交代があり、納税猶予を継続するのなら、

また手続きが必要になります。

 

手続きを忘れていた、遅れてしまった、

となると、納税猶予の認定は取消です。

「そろそろ手続きの時期が近づいています。」

といったアナウンスなどありません。

忘れていたら国が猶予を取り消すだけです。

それに、

納税猶予を受ける要件を延々と満たし続けるなど、

会社経営においては不透明極まりないことです。

 

国の思惑はこうです。

事業承継税制を利用してもらい、

いずれどこかの時点で確実に、猶予した納税額を確保する。

要は出口のない、単なる先延ばしの事業承継対策なのです。

このような制度を活用してしまうと、

代々に渡って負の遺産を残すことになるのです。

未来の後継者のためにも、

事業承継税制だけは、絶対に避けてほしいのです。

 

(古山喜章)

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