損益計算書には、多くの勘定科目があります。
なかでも活用したいのが「特別損失」です。
しかし決算書を拝見すると、
過去数年分を見ても「特別損失」がほとんどない、
という会社がまだまだ多いのです。
④クレーム対応にかかった労務費や旅費
大きなクレーム対応にかかった労務費や旅費も、
特別損失に計上しても構いません。
メーカーなど製造業は特に、出したくないけれども
大きなクレームが発生することがあります。
そのような場合、
数名で先方へ出向いて納品した製品を全量チェックする、
自社の倉庫にある同じロットの製品を全量チェックする、
などのチェックや再検査に追われます。
それなりの労務コストと交通費や宿泊費などの旅費が発生します。
その対応コストは全部、特別損失として計上してほしいのです。
もちろん、クレームとなった製品の原価も同様です。
勘定科目は「その他特別損失」で構いません。
その内訳が、わかるようにしておけばよいのです。
「旅費はわかっても、労務費はどうやって算出すればいいですか?」
と聞かれることがあります。
社員1時間あたりの単価を決めて、算出すればいいです。
各人ごと1円単位まで、厳密に計算する必要はありません。
社員1時間あたりの労務コストを算出した、根拠だけあればいいのです。
クレーム対応によって発生した、
原価、労務コスト、旅費を算出し、特別損失に振り替えます。
そうすればその分、営業利益と経常利益は守られるのです。
クレーム対応だけではありません。
建設業での見積提出の結果、
受注に至らなかった分の見積積算業務の労務コストを、
特別損失として計上されている会社もあります。
建設業の見積積算にはかなりの時間を要します。
その結果、受注できるものもあれば、できないものもあります。
受注できれば売上高に繋がります。
売上高に繋がった積算業務の労務コストのみ、
通常の労務費として計上されているのです。
そのかわり、どの見積の積算業務には何時間かかった、
などの記録を日報のなかでしっかりと残されています。
むやみやたらに特別損失にしているのではないのです。
何を特別損失とするか、税法での明確な基準はありません。
各社の経営判断に委ねられています。
それぞれの会社で、
これは特別損失になるのではないだろうか、
という費用は案外あるものです。
決算を数か月後に控えているのなら、
何か特別な費用がなかったかどうか、振り返ってほしいのです。
(古山喜章)
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