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2024年2月19日 (月)

少数株主からの買取請求を阻止せよ!①

“非上場会社の少数株主のお悩みを解決します!”

といった弁護士事務所の新聞広告を見る機会が増えてきました。

“その株、高く買ってもらえますよ”というわけです。

中小企業には、株式の数パーセントを保有している、

いわゆる少数株主が存在する、という会社が山のようにあります。

そこに商売のタネを見出した弁護士事務所が現れてきたのです。

 

①取締役会の譲渡承認では守れない!

 

新聞広告を見た少数株主からの買取要望があれば、

それを受けた弁護士事務所は、

株式発行会社に“株式譲渡承認請求書”を発行します。

A氏が保有する御社株式を一般社団法人Bへ譲渡しますので、

 承認をお願いします。」

といった内容です。

 

ほとんどの経営者はこう言います。

「うちは定款に、

株式を譲渡するには取締役会の承認を要する、

と書いてあります。

 そんな要望、断ったらいいじゃないですか。」

 

しかし、これでは株式の譲渡を守り切れないのです。

弁護士事務所から届いた“株式譲渡承認請求書”には、

このように書かれています。

「この譲渡請求を承認しない場合は、

会社が買い取るか、他の買主を指名下さい。

 2週間以内に回答がない場合、

この譲渡請求は承認されたこととなります。」

 

会社法には、「株式譲渡自由の原則」という条文があります。

そしてそこには、こうも書かれています。

「会社が譲渡を承認しない場合、会社が買い取るか、

 指定買取人による買取を求めることができる。」

この期限が、「譲渡承認請求」が届いた日から2週間以内、

なのです。

 

少数株主からの依頼を受けた弁護士事務所は、

会社法の法的措置を通じて、正当な手続きで攻めてくるのです。

このこと自体、違法な事ではないのです。

定款に書かれているのは、

取締役会での承認が必要、ということだけです。

売却できない、とは書かれていないのです。

 

会社は、少数とはいえ、

知らない相手に株式譲渡されるのは避けたいです。

なので譲渡承認請求が届けば、

ほぼ、会社が買い取る、という選択をします。しかし、

その時の買取価格を、弁護士事務所は原則的評価、

つまり、時価評価で求めてきます。

株価が高い会社はかなりの高額になるはずです。

その高額買取による成功報酬を見込んだ、

弁護士事務所の新たな商売なのです。

 

とはいえ、備えとなる策はあるのです。

法的措置で攻めてくるなら、

こちらも同じく法的措置で対応すればいいのです。

それが種類株式のなかの、「取得条項」なのです。

(つづく…)

 

(古山喜章)

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