少数株主からの買取請求を阻止せよ!②
“非上場会社の少数株主のお悩みを解決します!”
といった弁護士事務所の新聞広告を見る機会が増えてきました。
“その株、高く買ってもらえますよ”というわけです。
中小企業には、株式の数パーセントを保有している、
いわゆる少数株主が存在する、という会社が山のようにあります。
そこに商売のタネを見出した弁護士事務所が現れてきたのです。
②取得条項を付けなさい!
2006年に新会社法が制定されました。
その時に、種類株式の内容が見直されました。
新たに制定されたのが、「取得条項付き種類株式」です。
会社にとって望ましくない形で、
株式が分散してゆくことを防止するために誕生した株式です。
定款にあらかじめ定めた条件に該当することが発生したとき、
無条件でその株式は会社のものとなります。
あらかじめ定める条件には、想定できることを複数記載します。
その株主が従業員や取締役なら、例えば次のような条件を定めます。
1)従業員・取締役の地位を失った時
2)死亡した時
3)逮捕・拘留された時
4)株式を譲渡したとき
5)株式の譲渡承認請求を行った時
6)株式を担保に使用した時
このような条件を定めた取得条項付き種類株式にしておくのです。
そうしておけば、
・弁護士事務所から株式譲渡承認請求書が届いても、
・その株主が誰かに株式を譲渡したとしても、
その事実を会社が認識した時点で、
その種類株式は会社のものとなります。
取締役会の承認など、必要ないのです。
ただし、既存の株主が保有する株式を、
取得条項付き種類株式に転換するには、全株主の同意が必要です。
株主が分散しすぎているほど、ハードルは高くなります。
それでも策はあります。
その策については、後日書かせていただきます。
「取得条項が発動して会社のものになる、ということは、
会社はどのような価格で買い取ることになるのでしょうか?」
といった質問を必ずいただきます。
この買取価格をどうするか、ということも、
取得条項付き種類株式を使う、大きな強みとなるのです。
(つづく…)
(古山喜章)
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