納税猶予は名案でなく迷案③
納税猶予を考えている経営者は、
このように言っていました。
「うちは、子どもが3人いて、
三男に会社を継がせるよ。
そして、俺の持ってる株は、
三男に事業承継税制をつかって承継させる。
長男、次男も会社には入っているけど、経営は三男に任せる。
2人には、株の代わりに、財産を多めに与える予定だよ。」
このようにおっしゃいます。
「しかし、社長、事業承継税制は、あくまで猶予。
あとを継いだ三男さんが、株式をどこかで手放せば、
そのときは、猶予された税金を支払う必要がありますよ。
そのお金、三男さんは、用意あるのでしょうか?」
ちなみに、この会社、株価は30億円近くあります。
「まぁ、そのときは、会社に現金が30~40億円あるから、
そのお金を使って、支払うしかないね。」
「ちょっと待ってください。
そのとき、長男、次男は三男が会社のお金を使うことについて、
一切文句を言わないのですか?
会社にそれだけのお金がなければ?
いまは、まだ皆さん独身ですが、
お嫁さんがそれぞれに出来て、ヨコから口出ししたら?
あるいは、三男さんに後継者ができなかったら?
あるいは、後継者ができても、ボンクラだったら?
または、後継者が継ぐつもりがなかったら?」
事業承継税制は、2代目も3代目も4代目も、
しっかりと承継されていく、という前提があります。
でも、この先のこと、特に、10年、20年、30年先のことって、
わからないです。
(福岡雄吉郎)
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