特別損失を活用しなさい⑤
損益計算書には、多くの勘定科目があります。
なかでも活用したいのが「特別損失」です。
しかし決算書を拝見すると、
過去数年分を見ても「特別損失」がほとんどない、
という会社がまだまだ多いのです。
⑤会計事務所の反対にひるまない
特別損失を活用して営業利益を増やそうとすると、
反対するのはまず、会計事務所です。
まず言ってくるのは、
「そんなことをしたら税務署から目を付けられる。」
といったことです。
「どうしてですか?」と聞きます。
「今までそんな処理をしていなかったのに、
急に特別損失に振り替えるなどしたら、不自然です。」
「急にやったら不自然でダメだと言うなら、
どうやって自然にジワジワ振り替えるんですか?」
「いや、だからやってはいけないんです。」
といったやり取りをしたことがあります。
それともうひとつ、会計事務所からよく言われるのが、
「特別損失に振り替えても何も変わりませんよ。」
ということです。
要は、最終利益は変わらないし、税金は同じですよ、
ということが言いたいのです。
それはこちらもわかっています。
しかし、営業利益は変わり、それによって、
銀行格付け(スコアリング)が変わるのです。
会計事務所の方は、そのことがわからないのです。
というか、銀行交渉のことなどご存じないのです。
特別損失は法的に明確な基準がなく、
その判断は経営者に委ねられています。
会社が特別な費用だと判断すれば、そうなるのです。
「だから特別損失に振り替えてください。」
と言うと、
「うちのシステムには“特別修繕費”という
勘定科目がないので対応できません。」
とい言われたことがあります。
「作れないんですか?」と聞くと
「作れないことはないです。」
「じゃあ作ってください。」となったことがあります。
結局、面倒だからやりたくない、というのが本音にあるのです。
ところが、そのように反対していたものの、
数年すれば、何も言ってこなくなります。
慣れてくるのです。
なので、特別損失を活用しようとし始めたときに、
会計事務所からもの申されても、
ひるまずに、なぜそうしたいかを伝えることです。
そうするうちに、経営者の財務知識は必ず高まります。
決算時期が近づいてきたら、
特別損失として計上できるものはないか真剣に考え、
営業利益を最大限に大きくしてほしいのです。
(古山喜章)
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