特別損失を活用しなさい①
損益計算書には、多くの勘定科目があります。
なかでも活用したいのが「特別損失」です。
しかし決算書を拝見すると、
過去数年分を見ても「特別損失」がほとんどない、
という会社がまだまだ多いのです。
①営業利益を増やしなさい
「特別損失」を活用してほしい理由は、
「営業利益」を増やしてほしいからです。
決算書の中身を拝見してゆくと、特別損失になる内容なのに、
一般管理費や製造原価に計上されている、
という経費をみかけることがよくあるのです。
決算時には、かかった経費をどこで計上するのか、
という意思決定があります。
製造原価や一般管理費で計上すると、
その分「営業利益」が少なくなります。
しかし、損益計算書で「特別損失」は、
「営業利益」「経常利益」の下にくる経費です。
「特別損失」で経費を計上すればその分、
営業利益を大きくできるのです。
「営業利益」を増やしてほしいのは、
銀行の格付け「スコアリング」に影響するからです。
銀行は決算書をもとに会社を格付け「スコアリング」して、
10段階のランク付けをします。
そのランク付けに応じて、金利等の融資条件を変えてゆきます。
もちろん、格付けがよければ銀行員の態度も変わってきます。
格付けの高い会社をできるだけ、大事にしたいのです。
格付け「スコアリング」には、決算書の数字から
複数の経営指標を算出し、点数化します。
その算出時に使われる、
利益となる数字の多くが「営業利益」なのです。
「営業利益」は本業の利益です。
銀行は、
会社の本業の利益である「営業利益」を重要視しているのです。
「うちは今無借金です。今後も借りる予定はありません。
だからそこまでする必要はないです。」
という会社があります。
しかし、経営にはマサカの坂があります。
パンデミックや災害などで業績が急激に悪化し、
一時的には銀行融資を受けるしかない、
ということも起こり得るのです。
銀行融資を受ける際には、過去5年分の決算書から
格付「スコアリング」を判定します。
だから、今は無借金であっても、有事の備えとして
「営業利益」を大きくしておいてほしいのです。
では実際にどのような経費を「特別損失」にできるのか、
改めて書いてゆきたいと思います。
(古山喜章)
« 国税局との我慢比べ④ | トップページ | 特別損失を活用しなさい② »
「銀行交渉」カテゴリの記事
- 「金利ある世界」に踊らされてはいけない⑤(2024.08.09)
- 「金利ある世界」に踊らされてはいけない④(2024.08.08)
- 「金利ある世界」に踊らされてはいけない➂(2024.08.07)
- 「金利ある世界」に踊らされてはいけない②(2024.08.06)
- 「金利ある世界」に踊らされてはいけない①(2024.08.05)
コメント