特別損失を活用しなさい➂
損益計算書には、多くの勘定科目があります。
なかでも活用したいのが「特別損失」です。
しかし決算書を拝見すると、
過去数年分を見ても「特別損失」がほとんどない、
という会社がまだまだ多いのです。
➂数年に一度の修繕費
建物も設備も、経年劣化が進んでゆきます。
その時に、
導入時のような状態に戻すための修繕費用は、
特別損失として計上してほしいのです。
「特別修繕費」として計上すればよいです。
建物であれば、外壁や床の塗装をやり直す、
駐車場のライン引き直し、車止めを補修する、壁紙を貼り直すなど。
機械設備であれば、数年に一度のオーバーホールで総点検する、
摩耗した部品を取り換える、など。
要は毎年行うようなことではなく、数年に一度は行う、
といったことを、「特別修繕費」として計上してほいいのです。
その時にひとつお願いがあります。
見積書や請求書への記載方法です。
「原状復帰のための外壁塗装」
「原状復帰のための設備総点検」
といった形で、「原状復帰のため」という文言を記載して
もらってほしいのです。
そう書かないと真っ先に文句をつけてくるのは、
顧問会計事務所です。
「これは修繕費ではなく、資産計上ですね。」
等と平気で言ってきます。その理由を聞くと、
「この請求書の内容では、壁紙を新しい別のものに貼り替えた
ということなので、それは新たな資産ということになります。」
と税理士から言われたことがあります。
「じゃあ、請求書に“原状復帰のための壁紙貼り替え”と
記載してもらったらどうなんですか?実際にそうなんですよ。」
と尋ねました。
「まあ…、それならいいでしょう。」
と、どこまでも上から目線です。
“だったら最初からそうするように言ってくれたらいいじゃないか。”
と思ってしまうのです。
税務調査の折にも、
「教えてもらった通り、見積書にも請求書にも、
“原状復帰のため”と書いてあったので、
チェックはされましたが、何も指摘されませんでした。」
というお声を何度も聞きました。
数年に一度の、経年劣化を補修する修繕費は、
見積書と請求書のエビデンスを確保して、
「特別修繕費」として特別損失に計上してほしいのです。
(古山喜章)
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