少数株主からの買取請求を阻止せよ!➂
“非上場会社の少数株主のお悩みを解決します!”
といった弁護士事務所の新聞広告を見る機会が増えてきました。
“その株、高く買ってもらえますよ”というわけです。
中小企業には、株式の数パーセントを保有している、
いわゆる少数株主が存在する、という会社が山のようにあります。
そこに商売のタネを見出した弁護士事務所が現れてきたのです。
➂買取価格を確定させておきなさい
分散防止の役割を果たす取得条項を活用したとして、
気になるのは、
「会社が買い取る時の価格はどうなるんだろう。」
ということです。
この買取価格についても、
取得条項付き種類株式の導入時に、定款に明記します。
「相続税法上の評価額にて買い取る」
と記載します。
相続税法上の評価額なので、非同族であるなら、
配当還元方式での算出額です。
10%までの配当であれば、額面での買取、となります。
この買取価格を明記してあれば、
売る側は他の評価額での買い取りを請求することはできません。
買取価格を明記していないと、
売る側が非同族の者であったとしても、
「配当還元方式で買い取ってもらうのはイヤだ!
この会社の株価はもっと高いはずだ。
すくなくともそれに近い金額でないと代金を受け取らない!」
などというトラブルに発展する可能性が高くなります。
行き着くところは裁判です。
裁判になると、
最終的に裁判官がその評価額を決めることになります。
その場合の評価額はDCF法、
ディスカウント・キャッシュフロー方式、となります。
将来利益を見込んでの株価計算の算定式です。
なので、業績の良い会社なら、
通常の時価評価よりもさらに高い株価となります。
取得条項を発動した際の買取価格を、
「相続税法上の評価額」と明記していれば、
そのような争いにはならないのです。
他の計算方法で、という選択肢はないのです。
株式の評価額にはいくつかの計算方法があります。
売る側は、できるだけ高く売りたいのです。
しかし取得条項付き株式を活用して登記しておけば、
「納得できない高額で株式を買い取らねばならない」
という事態を避けることはできるのです。
あとは、現状の少数株主をどのように説得して、
普通株式から種類株式への転換に同意してもらうか、
なのです。(つづく…)
(古山喜章)
« 少数株主からの買取請求を阻止せよ!② | トップページ | 少数株主からの買取請求を阻止せよ!④ »
「法務・総務」カテゴリの記事
- 少数株主からの買取請求を阻止せよ!④(2024.02.22)
- 少数株主からの買取請求を阻止せよ!➂(2024.02.21)
- 少数株主からの買取請求を阻止せよ!②(2024.02.20)
- 少数株主からの買取請求を阻止せよ!①(2024.02.19)
- 株式の譲渡承認請求書が届きました!⑤(2023.05.19)
コメント