特別損失を活用しなさい②
損益計算書には、多くの勘定科目があります。
なかでも活用したいのが「特別損失」です。
しかし決算書を拝見すると、
過去数年分を見ても「特別損失」がほとんどない、
という会社がまだまだ多いのです。
②不良在庫や不良品の原価
不良在庫や返品による不良品の原価は、
「特別損失」で処理してほしいのです。
もう使えないとか、売れない不良在庫が発生した場合、
棚卸表には記載しない、という方法で処理されるケースが多いです。
そうなると、
その費用は原価として計上処理されることになります。
一時的にはそうするものの、決算処理においては、
その不良在庫の金額を、原価から特別損失に振り替えるのです。
そうすれば、
原価が減って売上総利益が増え、営業利益も増えます。
不良在庫の金額は、
特別損失において「棚卸資産除却損」とすればよいのです。
原価から特別損失に振り替えるだけなので、
特別損失から下の税引き前利益や純利益は変わりません。
また例えば、
出荷して客先に納品したものの、
不具合が見つかり返品されてきた、というケースがあります。
その際も、売上高の返品処理がされただけだと、
返品された商品の原価はそのまま原価髙要因に反映されるだけです。
そうではなく、
その原価を特別損失に振り替えるのです。
「クレーム品処理費用」として特別損失に計上するのです。
売上高が計上されなかった商品の原価なのですから、
特別損失とすることに何も問題はありません。
ただし、以上のような処理をする場合、
特に金額が100万円を越えるようなら、
取締役会でそのような処理をすることを決めた、
という取締役会議事録を作成しておいてほしいのです。
議案としては、
「不良在庫処分の件」や「クレーム品処理の件」
といった表題で構いません。
その中に、その内容と経理処理の方法を記載し、
「特別損失に計上する」としておけばよいのです。
在庫を抱える事業であれば、不良在庫や返品はつきものです。
なかでも大きな不良在庫や返品発生の際には、
その費用を原価にせず、「特別損失」に計上してほしいのです。
この処理をするだけで、営業利益がその分、大きくなるのですから。
(古山喜章)
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