小山昇氏の銀行対策はおかしい!⑦
小山昇氏著「1%の社長しか知らない 銀行とお金の話し」
がよく売れています。
しかし、同氏の持論は危険です。
“銀行からは借りれるだけ借りておきなさい”
“借金をして常に潤沢な現預金を持ちなさい”
この論理は、
“とにかくお金があれば安心できる”
という、財務を勘違いしている中小企業の社長には刺さるでしょう。
しかしこの考え方は、経営における明らかなミスリードなのです。
⑦社長の個人宅購入時に会社が後ろ盾になるのはおかしい!
小山氏の言葉では、
“社長が自分の家を買う時は、「全額住宅ローン」で買うのが正しい。”
とあります。しかも、
“自分の場合は自宅購入について
役員会の同意を得て、その議事録を銀行に提出した。
銀行は、
会社が後ろ盾になっているので全額住宅ローンにしても心配はない、
と判断したので自分は融資を受けれた。”
と書かれています。
つまり、皆さんもそうすればいいのですよ、という書き方です。
ここでは、会社が後ろ盾になっているから、という表現ですが、
要は、会社が小山氏の住宅ローンの保証人になるから、
ということです。
自分の家を買うためのローンを全額銀行から借りて、
その保証を会社に押し付けているわけです。
そんなことは会社法のガバナンスからすれば、
善管注意義務における違反行為です。
取締役には、
善良なる管理者としての注意義務、があるのです。
私欲のために会社を利用してはならないのです。
自分の住宅ローンの保証人は会社におしつけて、
“自宅を買うなら全額住宅ローンで買いなさい”
などと勧められて実際にそのようにしたとして、
そんなこと、従業員が知ったら釈明できるのでしょうか。
この情報社会において、
そのような不正行為はやがて明るみに出るのです。
社長が自宅を買うとして、
必要ならば銀行から借りればいいとは思います。
しかし、その保証を会社に負わせるのは、あまりにも身勝手です。
返済能力を示して、借りられる範囲で借りるのが、王道です。
だから個人でのローン時には源泉徴収票など、
収入を証明できる帳票を提出するのです。
結局、小山氏のやり方は、どうにかして銀行に恩を売り、
会社がいつでもたくさん借りられるようにしておくべし、
という魂胆です。
そこには決算書での格付などありません。心情的に訴えているだけです。
そして、
会社でどんどん借りて、社長個人も会社の保証でどんどん借りなさい、
というのです。
そんな無謀なやり方で社長が個人の融資を受けるなど、
絶対にあってはならないのです。
(古山喜章)
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小山昇、杉並区荻窪あたりにそこそこの一戸建て持ってますね。
アレを会社のローンで買ったのかなぁ?
投稿: とおりすがりのオッサン | 2024年3月19日 (火) 10時21分