小山昇氏の銀行対策はおかしい!⑧
小山昇氏著「1%の社長しか知らない 銀行とお金の話し」
がよく売れています。
しかし、同氏の持論は危険です。
“銀行からは借りれるだけ借りておきなさい”
“借金をして常に潤沢な現預金を持ちなさい”
この論理は、
“とにかくお金があれば安心できる”
という、財務を勘違いしている中小企業の社長には刺さるでしょう。
しかしこの考え方は、経営における明らかなミスリードなのです。
⑧「無担保でお金を借りられる3点セット」はおかしい
この書籍には、「銀行から無担保でお金を借りられる3点セット」
という文章があります。その3点は、次の①~➂です。
①経営計画書を作成して金融機関に配付する。
②経営計画発表会に各銀行の支店長を招待し、自社の定性・定量情報を提供する。
➂定期的な銀行訪問を実施し、現状を報告する。
この①~➂を実施していれば、無担保で借りられる、というのです。
しかし実施には、この①~➂を実施したからといって、
無担保でお金を借りられるわけがありません。
決算書からみた銀行格付け(スコアリング)によって、
あまりにひどい財務状況であれば、無担保にはならないのです。
それに、財務体質に問題がなければ、無担保での融資は当たり前です。
金融庁は、財務状況に問題がなければ
担保に頼る融資をしてはならない、と指針を打ち出しているのです。
要は、上記の①~➂と無担保融資は何ら関係ないのです。
そもそも、
銀行に対して、借りる側がそこまで丸裸になる必要はありません。
取引先の1社なのですから、ほどほどの情報開示でよいのです。
さらに本のなかで、
“銀行は「武蔵野で学んでいる会社であれば安心だ」と考え、
無担保で融資を受けられることがある。”
とあります。
が、そんなことは絶対にありません!
どこまでいっても決算書ありき、財務状況ありきです。
銀行マンが小山氏にそう言ったとして、
そんなものは、小山氏を喜ばせる社交辞令に決まっています。
銀行は小山氏の信者を増やして、
各信者の会社に融資をできればそれでOKなのです。
銀行の広告塔として、小山氏を利用しているだけなのです。
そんな銀行マンの社交辞令を本に書くこと自体、おかしいのです。
活字になれば、そうなんだ、と信じてしまう経営者が出てきます。
そうなると、その経営者はやがて借入金をどんどん増やしてしまいます。
危険な財務体質に陥る会社がまた増えてしまいます。
この書籍は財務がわからない中小企業経営者への、
完全なるミスリードなのです。
(古山喜章)
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