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2024年3月 6日 (水)

小山昇氏の銀行対策はおかしい!➂

小山昇氏著「1%の社長しか知らない 銀行とお金の話し」

がよく売れています。

しかし、同氏の持論は危険です。

“銀行からは借りれるだけ借りておきなさい”

“借金をして常に潤沢な現預金を持ちなさい”

この論理は、

“とにかくお金があれば安心できる”

という、財務を勘違いしている中小企業の社長には刺さるでしょう。

しかしこの考え方は、経営における明らかなミスリードなのです。

 

➂“自己資本比率より流動比率が高いほうが安全”なはずがない!

 

この本にはこう書いてあります。

“自己資本比率は低くてもいいので、流動比率を高くしたほうが安全”

小山氏の説明では、

自己資本比率は低くてもいいので、借入金をたくさんして手元現金を増やし、

流動比率を高くしたほうが倒産のリスクが少ない、

というのです。

 

つまり、

自己資本比率よりも流動比率が大事だ、

借入金が多くても現金が多いほうが倒産しにくい、

急に現金が必要なときに対応できない、

と言うのです。

この考え方は、私たちが言う「銀行サマサマ病」と同じです。

銀行の言いなりになっている思考です。

長期借入金をたくさんし、その現金を抱えていれば、

流動比率は上がるでしょう。しかし、しょせんは借金です。

 

一方、別の章では銀行格付けを語り、

“返済能力の配点が高く、銀行格付けでは重要視されている”と書いています。

そのとおりです。ICOでもそう書いています。

しかし、彼の言うとおりに借入金を増やせば増やすほど、

返済能力のひとつである債務償還年数の指標は悪化するのです。

さらに言えば、

彼が重要という「流動比率」の銀行格付けにおける配点は、

たったの7点です。

「自己資本比率」と「自己資本額」で合計25点です。

明らかに自己資本比率のほうが大事なのです。

書いていることの整合性がまったくないのです。

 

このようなくだりもあります。

“自己資本比率が90%以上の会社がありましたが、

 資産の多くは在庫でした。”

つまり、在庫がいくらあっても役に立たない、と言いたいのです。

自己資本比率が高くても意味がない、と言いたいのです。

しかし、この例はおかしいです。

自己資本比率が90%超もあって資産の多くが在庫なら、

それは間違いなく粉飾決算で在庫を膨らましています。

まともな財務体質の会社ではありません。

そんな会社を説得の引き合いに出すのは、明らかなミスリードです。

 

倒産するのはみな、借入金が多い会社です。

借入の返済ができず、給与や仕入れの支払いもできず、

資金繰りに行き詰まって倒産するのです。

借入金がたくさんあったおかげで倒産しなかった、

などということはあり得ないのです。

現にコロナ融資を受けて生き延びても、

返済できずに倒産に至った会社がどんどん増えているのです。

読めば読むほど、

財務のことをまったくわかっていないのではないか、

と思えて仕方がないのです。

続く…。

 

(古山喜章)

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銀行交渉」カテゴリの記事

コメント

ちなみに、小山昇の本でも何度か紹介され、昔は武蔵野のWebサイトにも載っていた岐阜の女性フォーマルアパレルの「ラブリークイーン」社は、経営者2代に渡って小山信者の会員企業でしたが、経営傾いて買収され、買収後に持ち直したかと思ったらコロナでトドメを刺されて倒産しちゃってますね。
同じく会員の「ミスターフュージョン」社も、そこの社長は小山昇のネットラジオに何度も出たり本でも紹介されたりして、一回はフジテレビを巻き込んで東京湾で大規模な花火大会まで主催していましたが、2023年末あたりで会社のWebサイトは繋がらなくなって存続してるのかも不明になってます。
他にも色々と潰れちゃった会員企業があるっぽいですが、潰れる前には会員をクビにさせられちゃうので、「会員企業で倒産した会社は0!」と宣伝できるようですw

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