小山昇氏の銀行対策はおかしい!⑥
小山昇氏著「1%の社長しか知らない 銀行とお金の話し」
がよく売れています。
しかし、同氏の持論は危険です。
“銀行からは借りれるだけ借りておきなさい”
“借金をして常に潤沢な現預金を持ちなさい”
この論理は、
“とにかくお金があれば安心できる”
という、財務を勘違いしている中小企業の社長には刺さるでしょう。
しかしこの考え方は、経営における明らかなミスリードなのです。
⑥お金さえたくさんあれば自己資本比率は低くていい、は危険すぎる!
小山氏の言葉では、
“できるだけ借入金をしてお金をたくさん持ちなさい。
自己資本比率が低くても現預金をたくさん持っていれば、
会社がつぶれることはありません。”
と言うのです。そのような考えは極めて危険です。
いくらお金がたくさんあろうとも、自己資本比率が低く、
負債のほとんどが小山氏の言うとおり借入金なら、
どうなるでしょうか?
毎月それなりの返済金が必要なはずです。
金利も必要です。
年間で言えば、かなりの金額になるはずです。
加えて、自己資本比率が低いということは、
毎年の剰余金が増えてこない、ということです。
剰余金が増えないということは、多くの業種において、
返済のための現預金も借入金でまかなうことになります。
返すために借りる、という状況に陥ります。
自己資本比率が低いうえに借入金だのみの自転車操業です。
そんな財務体質の会社が健全なわけがありません。
自己資本比率が低くて借入金が多くても、
健全に資金繰りが回るのは、不動産賃貸業のような、
減価償却費が大きな事業をされている業種のみです。
毎年の返済原資を、減価償却費でまかなえるからです。
そのような業種の場合は、借入金が多く、
資産には建物や付属設備などの固定資産が多くなります。
小山氏の言うような現預金が多いわけではありません。
稼ぐ資産が多く、減価償却費をたくさん計上することで、
剰余金は少なくても返済原資を確保できるのです。
だから自己資本比率が低くても資金繰りは回ります。
それでも、自己資本比率がいつまでも低いままでは、
銀行からの融資条件はよくなりません。
多額の借入金をするものの、
それでも自己資本比率が30%以上あればこそ、
銀行から好条件で融資を受けられるのです。
小山氏が言う、
“自己資本比率が低くても借りたお金がたくさんあれば会社はつぶれない”
という言葉を信じてそのとおりにしてしまうと、
それこそ中小企業は資金繰り地獄に陥り、
抜け出せなくなってしまうのです。
(古山喜章)
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小山昇が自著とかラジオで何度も取り上げて、自社サイトも作らせてた株式会社ミ◯ターフュー◯ョンって会社は、利益剰余金が2020年にマイナス1.7億までに膨らんで、2023年末には自社のWebサイトが繋がらなくなって、今現在もどうなってるのか不明ですねw
この会社も、武蔵野の会員企業の一つである「あさ出版」から2冊くらい本をだして小山昇は推薦文書いていましたが、潰れちゃったのかも?
投稿: とおりすがりのオッサン | 2024年3月19日 (火) 10時17分