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2024年4月

2024年4月30日 (火)

「小山昇氏の銀行対策はおかしい!」へのコメント①

これまで、「小山昇氏の銀行対策はおかしい!」と題して、

20回にわたって書かせていただきました。

その間、いろいろとコメントをいただきましたので、

ご紹介させていただきます。

コメントを寄せていただいた皆様、ありがとうございます。

 

はじめにご紹介するのは、現在無借金で年商は約10億円、

この10年ほどかけて自己資本比率が80%になった、

建設資材の販売をされている会社です。

以下、社長からいただいたコメントです。

 

先週末、〇〇銀行◇◇支店の担当がアポなし営業で突然来ました。

〇〇銀行は△△エリアの中で最も規模が大きい地銀で、

預金量、貸出残高共に△△エリア断トツでトップの地銀です。

私も会社にいて、たまたま手元に仮決算書が有ったので見せたら、

「まさか決算書を見せて頂けるとは思っていなかった上に数値も抜群で、

是非ともすぐにお取引頂けないでしょうか?

 取り急ぎGW明けに、再度上司と一緒にご挨拶に伺わせて下さい。」

今のところ短期も長期も借入の予定ないよ、と伝えたら

「それでしたら是非とも当座貸越のご契約をお願いします。」

とお願いされました。

当座貸越契約は、A銀行、B銀行、C銀行、D銀行(メガバンク)

ですでに有るよ、と伝えたら

「D銀行さんとも既にお取引あるのですか・・・

 我々も是非その中に加えて下さい。」とやる気満々でした。

古山先生が仰った通り、

メガバンクや△△エリア最大手の地方銀行と言えども、

決算書の数値が良い会社には、どうにか入り込みたいと考えている様子です。

更に無担保無保証というこちらの条件も通ります。

10年前の決算書の数値だったら、D銀行や〇〇銀行などは

弊社に見向きもしなかったと思います。

 

いかがでしょうか?

小山氏が書いているような、

「借りていなければすぐに借りられない。」ということは全くないのです。

現に飛び込みで来た銀行でさえ、

すぐにでも貸したい、無担保無保証でいい、

と言ってくるのです。

つきあいがあるから借りられる、ないから借りられない、

ではなく、

決算書の数字が良ければすぐにでも借りられるのです。

 

銀行との無用な付き合いをして借りるよりも、

決算書を磨いてすぐにでも借りられる方向へと、

力を注いでほしいのです。

 

(古山喜章)

2024年4月26日 (金)

M&Aは慎重に⑤

先日、顧問先の社長から、

M&Aに関する相談を受けました。

2人で話をしたいということでした。

 

諸々検討した結果、

このM&Aを前向きに進めることにしました。

 

次のステップは、意向表明書の提出です。

 

この意向表明書というのは、

不動産を買う場合に提出する

買付証明書と同じようなものです。

 

細かいことはさておき、

だいたいこういう条件で買うことを考えています、

という意思を示すための書類です。

 

もちろん、この意向表明書は、

契約書ではないので、

法的な効力はありません。

 

つまり、意向表明書を出したあとに、

「やーめた」となっても、それはそれで構わない、ということです。

 

しかし、注意してほしいのは、

法的な効力はなかったとしても、

ここに書いてあることが、後々、

引っ張られるということです。

 

たとえば、買収価格は、●億円とする、

とあれば、最終的な契約書を交わすときも、

その●億円から動かすことはしづらくなります。

 

「約束したでしょう、約束は守ってくださいね。」

という書類です。

 

ですから、ここにどんなことを書いて、

何を主張するかは、大切なのです。

入口でボタンを掛け違えれば、

最後までボタンは掛け違えたままです。

 

そうなれば、時間も労力もお金も使ったあげくに、

ブレイク(破断)となります。

 

入口は肝心です。

 

(福岡雄吉郎)

2024年4月25日 (木)

M&Aは慎重に④

先日、顧問先の社長から、

M&Aに関する相談を受けました。

2人で話をしたいということでした。

 

「ただし、私なりにM&Aをすべきかどうか、

ポイントがあるので、それを確認したいと思います」

 

③本体の財務への影響

 

M&Aをするということは、

通常、たくさんのお金が出ていきます。

 

売る側のオーナーに支払ったお金は、

B/Sに、「子会社株式」という名前で、

ずっと、のりつづけます。

 

場合によっては、M&Aするお金を、

銀行から借りて調達する場合もあります。

 

イケイケの社長、特に営業畑の社長は、

財務のことをあまり考えませんが、

やはり、財務のことは考えなくてはいけません。

 

このM&Aをすると、

 

・わが社の財務体質はどうなるのか?

 

・自己資本比率は、どれくらい悪化するのか?

 

・この投資は、計算上は、何年で回収できるのか?

 

こうしたことはもちろんですが、

 

・仮に、M&Aを買った後で、うまくいかなかった場合、

 投資したお金の回収のメドが立たなくなった場合、

 本体への影響は、いかほどか?致命傷にならないか?

 

など、こういったことは、やはり考えておくべきです。

 

(福岡雄吉郎)

2024年4月24日 (水)

M&Aは慎重に③

先日、顧問先の社長から、

M&Aに関する相談を受けました。

2人で話をしたいということでした。

 

「ただし、私なりにM&Aをすべきかどうか、

ポイントがあるので、それを確認したいと思います」

 

②送り込む人材がいるか?

 

M&Aをすれば、買う側が、

売った側をコントロールします。

 

一般的には、買った側のオーナー、

あるいは、幹部が、売った会社の

社長に就任します。

 

一方で、売った会社のオーナーは、

「取締役会長」という役位で、

2,3年はサポートする立場に立つことが多いです。

 

このあたりは、M&Aするときの

条件交渉で詰める話ですが、

問題は中身です。

 

名実ともに、買収先のトップになるには、

買った後は、当面、がっぷりよつで、

会社全体を掌握できるようにすることが必要です。

 

週に●日だけ出勤ではなく、

毎日、出勤する、もっといえば、

住まいも近くに引っ越すくらいのことはすべきです。

 

買った側のオーナーがそこまでできないなら、

社長にすえる幹部に、そのようにしてもらいたいです。

 

よく、PMIが大事、と言われます。

 

PMIというのは、

ポスト・マージャー・インテグレーション

の頭文字です。

 

M&A後の統合効果を最大化するための統合プロセスを指します。

統合の対象範囲は、経営、業務、意識など統合に関わるすべてのプロセスを

いうようですが、こむずかしく、考えるより、

要は、社長が、その会社にどっぷりつかることが第一歩だと考えます。

 

(福岡雄吉郎)

2024年4月23日 (火)

M&Aは慎重に②

先日、顧問先の社長から、

M&Aに関する相談を受けました。

2人で話をしたいということでした。

 

「ただし、私なりにM&Aをすべきかどうか、

ポイントがあるので、それを確認したいと思います」

 

①シナジーがうめるか?

 

シナジーとは、相乗効果のことです。

 

M&Aをすることで、自社の事業がもっと伸びる、

あるいは、自社の強みを生かせば、

買う事業をもっと伸ばることができる、

といったものです。

 

これを真剣に考え抜くことが大切だと思っています。

 

中小企業のM&Aは、この視点が、

以外に抜けています。

 

M&Aの仲介会社から、

いきなりダイレクトメール、はがきが届き、

興味がわいたので、話を聞いてみると、

「なんとなく良さそう、悪くないかもしれない」

といって、M&Aに走りがちです。

 

はたから見ると、この

“なんとなく良さそう”というのが、

実は良くありません。

 

例えば、同業他社で、違うエリアで展開している会社を買う、

という場合は、商圏を広げられる、ということは、

わかりやすいです。これは、確かにメリットがあります。

 

しかし、今の事業とほとんど関係ない、

かすってもいない会社をM&Aしても、

まず、上手くいきません。

 

M&Aの仲介会社から、不意に持ち込まれて、「あ、いいかも」

というのは、たいていうまくいきません。

 

自社の5年後、10年後をイメージして、

「このピースが足りない!」と考えて、

そのピースを取りに行くM&Aは、

おのずと成功確率が高まります。

 

(福岡雄吉郎)

2024年4月22日 (月)

M&Aは慎重に

先日、顧問先の社長から、

M&Aに関する相談を受けました。

2人で話をしたいということでした。

 

「これは、まだ、会長には内緒なんです。

というのも、会長なら迷わず、“GO!”というからです。

 

もっと避けたいのが、会長に伝えると、

すぐにいろいろなところに言いふらし、

売り手の耳にもはいって、信頼関係が崩れることが、

簡単に予想できるからです。

 

なので、これは、私が決断してから、

正式に伝えようと思っています。

 

その前に、福岡さんから見て、

このM&Aはどう映るか?

ご意見をお聞かせください」

ということでした。

 

この案件は、仲介会社から持ち込まれた案件ではなく、

売主から直接、この社長のもとに打診があったそうです。

 

実は、売主は、大手M&A仲介会社に、

仲介の依頼をしていたのですが、

よい相手先が見つからず、

商売上、わずかにつながりのあったこの会社に、

「おたくの会社で引き取ってくれませんか?」

と、打診があったのです。

 

売り手に関する資料を拝見したところ、

業績、財務体質ともに堅実そのもの、

今後も、安定した業績は見込めそうです。

 

財務的には、何の問題もありません。

 

「すばらしいと思いますね。」

 

「あぁ、そうですか、よかったです。」

 

「ただし、私なりにM&Aをすべきかどうか、

ポイントがあるので、それを確認したいと思います」

 

(福岡雄吉郎)

2024年4月19日 (金)

小山昇氏の銀行対策はおかしい!(20)

小山昇氏著「1%の社長しか知らない 銀行とお金の話し」

がよく売れています。

しかし、同氏の持論は危険です。

“銀行からは借りられるだけ借りておきなさい”

“借金をして常に潤沢な現預金を持ちなさい”

この論理は、

“とにかくお金があれば安心できる”

という、財務を勘違いしている中小企業の社長には刺さるでしょう。

しかしこの考え方は、経営における明らかなミスリードなのです。

 

(20)運転資金を減らす努力をし続けなさい

 

在庫が多い、回収が遅い、支払いが早い、

などの理由で運転資金が必要になる、という業種はあります。

そういう場合、小山氏が言う、

「借りられるだけ借りて、現預金をたくさん持ちなさい。」

という言葉に頼りたくなる中小企業の社長は、いるでしょう。

しかし、運転資金が必要になる業種でも、

それを減らす努力はし続けるべきなのです。

そしていつか、借入金依存の運転資金などなくても、

資金繰りが回るようにしてほしいのです。

 

ライバル社にはない優位性があれば、

既存の回収条件を変えることは可能です。

他社にはない魅力があれば、買う側も、

条件交渉に応じてくれる時がくるのです。

もちろん、すぐには十分な条件変更はできないでしょう。

しかし、1社ずつでも、5年10年をかけて、

回収条件を変え、在庫を減らし、支払い条件を変える、などしながら、

運転資金でお金を銀行から借りることなどなくなった、

という顧問先はいくつもあるのです。

 

それらの顧問先は、みな無借金です。

じゃあ、小山氏の言う通り、無借金だと銀行がすぐに貸さないか、

というと、そんなことは全くありません。

「借りていた時よりも、

 借りてください、いくらでも貸します、と挨拶に来ますよ。」

と、社長の皆さんは言うのです。

そりゃあそうです。

無借金でキャッシュフローが良い会社ほど、返済能力は高いのです。

そのような会社にお金を貸したいのは、当たり前です。

 

小山氏が書籍で書くような、

「普段から借りていない会社に銀行はお金を貸さない。」

などということは絶対にありえないのです。

例えば、今はお金を借りていなくても、

口座の取引はずっと継続していたり、以前はお金を借りていた、

ということは、大いにあります。

そんな場合、銀行はその会社の財務状況は良くなっている、

という察しはつきます。

以前は必要だった運転資金の融資が、いらなくなっているのですから。

 

であれば、そのような財務状況の良い会社にお金を借りてもらおうと、

これまで以上に,銀行は社長のところに挨拶に来たがるのです。

小山氏の言うような銀行対応は、完全な借入依存症です。

銀行から借りれたら、すべて解決する、と思いがちになります。

そうではないのです。

社長がやるべきは、借入金に依存しなくても運転資金が回るよう、

回収を早くする、在庫を削減する、支払日をずらす、

ということに注力し続けてほしいのです。

財務体質を変えることこそが、大切なのです。

 

(古山喜章)

2024年4月18日 (木)

小山昇氏の銀行対策はおかしい!(19)

小山昇氏著「1%の社長しか知らない 銀行とお金の話し」

がよく売れています。

しかし、同氏の持論は危険です。

“銀行からは借りられるだけ借りておきなさい”

“借金をして常に潤沢な現預金を持ちなさい”

この論理は、

“とにかくお金があれば安心できる”

という、財務を勘違いしている中小企業の社長には刺さるでしょう。

しかしこの考え方は、経営における明らかなミスリードなのです。

 

(19)借入金に依存してスリムな財務体質になるはずがない

 

小山氏は銀行からお金を借りるには、

「スリムな財務体質にしなさい。」と書いています。

読んでいて“???”となるのです。

いやいや、

「借りられるだけお金を借りて現預金を持ちなさい。」

と言いつつ、スリムな財務体質になりなさい、

とは、もう無茶苦茶だな、と声をあげずにいられないのです。

財務に理解のある方なら、おわかりのはずです。

 

借入金をすればするほど、貸借対照表の負債が膨らみ、

その一方で現預金が増えるのです。

財務体質はスリムどころか、どんどんメタボになってゆきます。

「食べられるだけどんどん食べて、痩せなさい!」

と言っているようなものです。

完全に矛盾したことを言っているのです。

 

かつて、東日本大震災で大打撃を受けた水産業の社長が言いました。

「うちは無借金でしたが、政策金融公庫がすぐに貸してくれ、

資金繰りに困ることはありませんでした。

でも、既に多額の借入金がある会社は、追加融資を受けられず、

倒産した会社がたくさんありました。」

確かに、借入金があるのに、

追加融資を受けて生き残った会社もあるかもしれません。

しかし、実際に倒産したのは、

借入金ですでに債務が膨張していた会社なのです。

 

無借金で自己資本比率が高い会社、あるいは、

借金はあっても少なく自己資本比率がそこそこ高い会社、

で倒産した、ということは、聞くことはなかったのです。

 

財務体質はスリムにしておいたほうが、

融資を受けやすいのは事実です。

ここでいうスリムとは、負債が少なく自己資本比率が高く、

総資産が負債で膨張していない、という状況です。

しかし、小山氏の言うスリムとはいったい、

何を意味しているのかがわかりません。

そのような言い分を真に受けて実践してしまうと、

いつまでたってもスリムになりません。

太ってしまうと、痩せるのには時間と労力がかかるのと、同じです。

簡単には体質を健全な形に回復させられないのです。

 

(古山喜章)

2024年4月17日 (水)

小山昇氏の銀行対策はおかしい!(18)

小山昇氏著「1%の社長しか知らない 銀行とお金の話し」

がよく売れています。

しかし、同氏の持論は危険です。

“銀行からは借りられるだけ借りておきなさい”

“借金をして常に潤沢な現預金を持ちなさい”

この論理は、

“とにかくお金があれば安心できる”

という、財務を勘違いしている中小企業の社長には刺さるでしょう。

しかしこの考え方は、経営における明らかなミスリードなのです。

 

(18)資金の余裕があるなら繰上げ返済しなさい

 

小山氏は

「お金に余裕があっても銀行へ繰上げ返済をしてはいけない」

と書いています。

「繰上げ返済は銀行への恩をアダで返す行為であり、

そんなことをすれば、次はもう借りられない。」と言うのです。

 

そんなことはありません。

私たちの顧問先には、繰上げ返済をしてもその後、

資金が必要な時にはまた融資を受けています。

そもそも、

銀行から恩を受けてお金を借りているわけではありません。

対等な交渉で融資を受けているのです。

銀行は、お金を貸せない会社には貸さないし、

貸したい会社には条件を緩めてでも、貸したいのです。

 

繰上げ返済をしようとすると、

銀行は「違約金がかかります。」と言ってきます。

それは、今後払うことになっている、金利の残高です。

違約金と言われると罰金のようですが、そうではありません。

金利の残り分です。

この違約金ですが、交渉すれば下げてもらうことができます。

“ちょっと負けてくれました。”

“半額ぐらいになりました。”

という交渉結果を私たちの顧問先からは聞きます。

なかには、

“全額負けてもらいました。”という猛者もおります。

 

交渉しなければ、

違約金として残りの金利をそのまま払うことになります。

値引きされずにそのまま払っても、金利は損金計上できます。

今後払うべき金利を前倒しで損金計上しただけ、なのです。

業績が良い年度なら、違約金を払ってでも繰上げ返済したほうが、

負債が減り、財務体質は向上するのです。

 

繰上げ返済をするのも、銀行との交渉であり、

ビジネスとして五分五分で行う行為なのです。

小山氏が言うような、

銀行に恩を感じて余分なお金まで抱えても、

銀行こそ、その恩をアダで返してきます。

銀行は何も、資金調達の守り神ではありません。

どんなに銀行が喜ぶような借り方をしていても、

貸しはがしが必要なら、銀行は容赦なくするのです。

それは、恩云々ではなく、財務体質であり、返済能力なのです。

そこを勘違いさせるような小山氏の言い分に、

惑わされないようにしてほしいのです。

 

(古山喜章)

2024年4月16日 (火)

小山昇氏の銀行対策はおかしい!(17)

小山昇氏著「1%の社長しか知らない 銀行とお金の話し」

がよく売れています。

しかし、同氏の持論は危険です。

“銀行からは借りれるだけ借りておきなさい”

“借金をして常に潤沢な現預金を持ちなさい”

この論理は、

“とにかくお金があれば安心できる”

という、財務を勘違いしている中小企業の社長には刺さるでしょう。

しかしこの考え方は、経営における明らかなミスリードなのです。

 

(17)現預金が多い会社は気を付けなさい

 

小山氏は、借りられるだけ借りて、

とにかく現預金をたくさん持ちなさい、と書いています。

私たちICOでは、

余計な借り入れはせず、できる限り現預金はギリギリで回しなさい。

特に決算時は最小限にしなさい、と言い続けています。

それをできるのが、優秀な経理担当なのです。

 

その変わり、急な資金対応が必要な事業の会社は、

銀行と当座貸越契約を結んでいます。

あるいは、生命保険で蓄えた解約返戻金や、

倒産防止共済で貯めた簿外資金を蓄積しています。

今日明日にすぐにお金が要る、という資金は通常ありません。

数日で調達できれば対応可能なはずです。

 

小山氏の言うとおりに、

借入金をしてでも現預金を月商の数か月分も持っていると、

そのような会社は気をつけるべきことがあります。

現預金を日常的に多く持つ会社で起こりやすいのが、

まずは経理担当による、横領や使い込みです。

おそらく、毎日どこかの会社で起こっています。

今まで私たちも、そのような横領事件を目の当たりにすることが、

何度もありました。

 

そのようなことが起こる会社の特徴は、

現預金が多い、

残高や入出金のチェックを経理担当以外の者がしていない、

要はまかせっぱなしになっているのです。

人間、やはり魔がさすこともあります。

大金を自分の一存で動かせる、チェックもない、

となると、そのようなことが起こり得るのです。

大谷選手の通訳をしていた彼も同じです。

そもそも現預金がギリギリしかなければ、そのようなことは起こりません。

 

経理担当だけではありません。

現預金がふんだんにあると、誘惑にかられるのは経営者です。

事業に関係のない土地や株を買って大損する。

社長個人が会社から多額の借入金をして儲け話に手を出し、失敗する。

そのようなことを、何度も見てきたのです。

現預金がたくさんあるから、誘惑に惑わされるのです。

気付けば、いざというときのための借入金が、

現預金からよからぬ固定資産や貸付金に変っているのです。

 

現預金を必要以上に抱えるのは、

そのようなリスクを抱えることにもなるのです。

リスクを回避するためには、チェックをすることが必要になります。

本業の業績には関係のない、余計な管理に時間を費やすこととなるのです。

それであれば、必要以上な現預金を抱えることなく、

ギリギリでの資金繰りを実践すればいいのです。

そうすれば、

悲しき罪びとを生み出すようなことには、ならないのです。

 

(古山喜章)

2024年4月15日 (月)

小山昇氏の銀行対策はおかしい!(16)

小山昇氏著「1%の社長しか知らない 銀行とお金の話し」

がよく売れています。

しかし、同氏の持論は危険です。

“銀行からは借りれるだけ借りておきなさい”

“借金をして常に潤沢な現預金を持ちなさい”

この論理は、

“とにかくお金があれば安心できる”

という、財務を勘違いしている中小企業の社長には刺さるでしょう。

しかしこの考え方は、経営における明らかなミスリードなのです。

 

(16)銀行が担保をとるのは自分の評価のため

 

小山氏の本には、

「金融機関が担保を取るのは、その会社を信用していないから」とあります。

信用していない、というのは、

貸したお金を返済できない状況に陥るかもしれないから、とあります。

建前はそうです。しかし実際にはそうではありません。

財務体質が盤石で、自己資本比率が40%以上の会社でも、

銀行に担保を取られていることがあったりします。

その場合、その会社を信用していないから、ではありません。

それは、担当銀行員の成績のためです。

 

個々の銀行員にとって、

人事考課が自らの銀行員人生を大きく左右します。

その人事考課は、小さな得点の積み重ねです。

その得点のひとつが、担保を獲得することなのです。

個人保証を獲得する、従業員の口座を獲得する、といったことも同様です。

銀行員がお願いしてくることは全て、

その銀行員の人事考課に結び付いている、と思えばよいのです。

 

他にも、年次決算が終わると、

「決算書を一式、いただけますでしょうか。」

と銀行員が言ってきます。

ある、元銀行頭取の方に次のように聞きました。

「格付(スコアリング)するだけなら、損益計算書と

 貸借対照表があればできますよね。

 なのにどうして決算書一式を欲しがるんですか?」

その元頭取は言いました。

「それは、決算書一式をもらって帰ることが、

 その銀行員のおてがらになって、評価がいいからですよ。

 例えば、決算書一式で勘定科目の内訳を見れば、

 その社長は投資が好きで株や土地に手を出していることがわかります。

 それがわかれば、そのような提案をすれば成約しやすいですから。

 株式の状況がわかれば、事業承継の提案もできますしね。」

 

初めての融資でもなく、業績が悪いわけでもない。

そんな時でも、銀行員は平気で決算書一式を求めてきます。

長く融資取引がされている関係であれば、なおさら、

決算書一式など不要です。

結局それは全て、個人の人事考課の成績のためなのです。

会社の返済能力がどうかなど、二の次です。

それは、損益計算書と貸借対照表から算定される、

格付(スコアリング)で十分なのですから。

 

小山氏のこの本には、

『それは違うだろう』ということが多くあるのです。

銀行員が担保を要求してくるのは、信用していないからではなく、

自分自身の成績を良くするためなのです。

それに、

小山氏の言うとおりに借りられるだけ借りることのほうが、

格付(スコアリング)を悪化させ、信用を失ってゆくのです。

 

(古山喜章)

2024年4月12日 (金)

利益は出れども、お金は残らず⑤

「家賃の値上げ交渉をしましょう。」

 

「はい、家賃の値上げは私も考えておりました。

もう少し、利益を出さないと、どのみち苦しいので・・・

 

ちなみに、家賃を値上げする場合は、

どのような方法で交渉すればよいのでしょうか?」

 

「もっとも賃料の高い相手は、どんな状況でしょうか?」

 

「はい、実は、ここがちょっと問題でして・・・・

コロナのときに、お客さんが減って苦しいからと、

家賃の引き下げをお願いされました。

それで、家賃を20% 引き下げました」

 

「そうなんですね、でも、期間を定めたでしょう。

期間限定で、3か月間とか、半年間とか・・・」

 

「はい、3カ月間で、定めました」

 

「それで?」

 

「はい、実は、3カ月を経過して、

いまのいままで、ずっとその下げた家賃をもらい続けています。

私も、この事実をしったのは、つい最近でして・・・

情けない限りです。」

 

「そんなお人よしのことをやっているから、

余計お金がたまらないんですよ。

しかし、相手先も3カ月経った後で、何も連絡がなかったのですか?」

 

「はい、相手先からは、残念ながら、ありませんでした。」

 

「私なら、弁護士を使って、“あなたのやっていることは契約違反だ”

ということで、ひとまず、これまでの未払賃料の請求を立てますよ。

当然、これからの家賃は元に戻します。」

 

「はい、そうしたいのですが・・・

相手に腹をくくられて、“では、もう出ていきます!”と言われると、

こちらとしても辛いので・・・

賃貸借の契約期間は、今月末までなんです。

なので、早くまとめないと・・・」

 

「その姿勢だと、上げられるものも上げられませんよ。

出ていくといったって、他に場所があるんですか?

相手は、そもそも契約違反してるんですよ。

相手の状況は、帝国データで調べましたか?

やるべきことをやらないと、交渉はできませんよ・・・」

 

 

(福岡雄吉郎)

2024年4月11日 (木)

利益は出れども、お金は残らず④

「借入金の返済がたくさんあるので、

お金が増えないということがよくわかりました」

 

「では、私は次にどうすればよいのでしょうか?」

 

「借入金の返済が重たいということは、

つまり、どういうことか、わかりますか?」

 

「・・・・金利が高い、ということでしょうか?」

 

「いやいや、金利は関係ないでしょう。

返済が重い、というは、つまりどういうことですか?」

 

「毎月の借入返済額が多い、ということですか?」

 

「そのとおり。ということはつまり?」

 

「つまり・・・・・??」

 

「借入の返済期間が短いということでしょう、違いますか?」

 

「はい、確かにそのとおりです。」

 

「だから、リファイナンスをしないといけないでしょうね。

リファイナンスというのは、簡単にいえば、

借入金を伸ばしてもらうということです。

もちろん、交渉が必要ですが」

 

「そんなこと、できますか?」

 

「できますよ。私の別の顧問先は、

やはり、株式取得のための借入金返済が重くて、

昨年、リファイナンスをしたばかりです。

返済期間を延ばして、資金繰りはだいぶ楽になりました」

 

「そうなんですね、わかりました。」

 

「それとは別に、家賃の値上げ交渉をしましょう。」

 

(福岡雄吉郎)

2024年4月10日 (水)

利益は出れども、お金は残らず③

「専務の会社は、不動産賃貸業ですよね?

黒字だけど、お金が残らない、

という点について、専務自身はどこに原因があると考えていますか?

 

福井商事(仮称)の場合、

・営業キャッシュフローは黒字

・投資キャッシュフローは±ゼロ

・財務キャッシュフローはマイナス

なんですよ。わかりますか?」

 

「はい、なんとなく、わかります」

 

「専務のいう“黒字”というのは、

営業キャッシュフローのことなんです。

でも、財務キャッシュフローは、赤字なんです。

だから、結果として、お金が増えていない、減っているんです。」

 

「なるほど・・・」

 

「では、なぜ、お金が増えていないのでしょうか?

利益は出ているけど、お金が増えない、減っていることの、

原因はなんでしょうか?」

 

「・・・借入金の返済、でしょうか?・・・・」

 

「そうですね。借入金の返済が重たいんですよ。

この借入金って、何のお金ですか?」

 

「不動産の購入のために、借りたお金もありますが、

実は、別のグループ会社の株式を、福井商事に集約したのです。

その際に、銀行から借り入れを行いました。」

 

「そうですね、貸借対照表を見れば、よくわかります。」

 

「借入金の返済がたくさんあるので、

お金が増えないということがよくわかりました」

 

「では、私は次にどうすればよいのでしょうか?」

 

 

(福岡雄吉郎)

2024年4月 9日 (火)

利益は出れども、お金は残らず②

単発でご相談をいただきました。

北陸地方で、不動産事業を営まれる

福井商事(仮称)の福井専務からのご相談です。

 

「専務の会社は、不動産賃貸業ですよね?

黒字だけど、お金が残らない、

という点について、専務自身はどこに原因があると考えていますか?」

 

「そうですね・・・、父である社長の役員報酬が高いのかな、と思っています。」

 

「ちょっと待ってください、

専務の疑問は、“黒字だけど、お金が残らないこと”ですよね。

 

仮に、報酬が少し高かったとしても、

現状、それなりに黒字が出ているのだから、

その意味では、専務の疑問の答えとしては違いますよね?

 

それに、社長の役員報酬は、年間800万円です。

決して高いわけではありません。」

 

「なぜ、利益が出ているのに、お金がたまらないのか?

キャッシュフローを考えてみてください。

 

キャッシュフローというのは、

実は、3種類あります。

 

・営業キャッシュフロー

・投資キャッシュフロー

・財務キャッシュフロー

です。

 

この3つを合計すると、

1年間で、お金がいくら増えたか、減ったか、わかります。

 

営業キャッシュフローは、

簡単に言うと、税引後利益+減価償却費です。

ここは、福井商事の場合は、プラスなわけですよね。

 

投資キャッシュフローは、

例えば、固定資産を売った、買った、

保険に入った、解約したなど、

本業以外でお金が増えたか、減ったかをチェックします。

福井商事の場合は、これは、±ゼロですよね。

 

では、最後の財務キャッシュフローは何かというと、

これは、銀行からお金を借りた、返した、

あるいは、配当金を支払った、といった

本業でもなく、投資でもない、お金の動きを表します。

 

この3つに分けると、気づくことはありませんか?」

 

(福岡雄吉郎)

2024年4月 8日 (月)

利益は出れども、お金は残らず

単発でご相談をいただきました。

北陸地方で、不動産事業を営まれる

福井商事(仮称)の福井専務からのご相談です。

 

福井専務は、30代前半、

福井商事の2代目経営者として、

経営の勉強をしながら、日々の実務にあたっています。

 

その福井専務の相談は、

次のような内容でした。

 

「当社は、不動産事業を営んでおり、

そこまで商いは大きくありません。

ただし、安定的に利益は出せております。

しかし、会社の資金はといいますと、

これが全くたまっておりません。

 

後継者として、一応、財務、税務も勉強していますが、

なぜ、お金がたまらないのか、

どこに問題があるのか、いまいち、掴めずに悶々としています。

客観的な視点で、何が問題なのか、

アドバイスを頂きたいです。」

 

“黒字だけど、お金は残らない”

というのは、珍しい話ではありません。

 

リーマンショックのときなどは、

この傾向が顕著で、

特に不動産のデベロッパーは、

直前期に過去最高利益を出しておきながら、

次の期に、資金繰りに行き詰まり、

経営破綻してしまった、という会社がありました。

いわゆる黒字倒産です。

 

福井商事(仮称)は、不動産会社とはいえ、

賃貸中心で、土地、建物の仕込みはやっていません。

 

そういう意味では、

比較的事業が安定しやすい不動産賃貸業で、

なぜ、そうなっているのか、

まずは、福井専務に質問するところからスタートしました。

 

(福岡雄吉郎)

2024年4月 5日 (金)

小山昇氏の銀行対策はおかしい!(15)

小山昇氏著「1%の社長しか知らない 銀行とお金の話し」

がよく売れています。

しかし、同氏の持論は危険です。

“銀行からは借りれるだけ借りておきなさい”

“借金をして常に潤沢な現預金を持ちなさい”

この論理は、

“とにかくお金があれば安心できる”

という、財務を勘違いしている中小企業の社長には刺さるでしょう。

しかしこの考え方は、経営における明らかなミスリードなのです。

 

(15)借入金のない会社のほうがつぶれない

 

小山氏の本には、

「借入金のある会社のほうが、非常事態に強い」とあります。

では、借入金がない会社は非常事態に弱いのでしょうか。

小山氏いわく、日ごろから借入金がないと、

急に借りたくても借りることはできない、

だから借入金があるほうが強い、と言うのです。

 

今日明日に銀行から借りることはできないかもしれません。

しかし、当座貸越契約をしていれば、すぐに借りることができます。

倒産防止協会に加入していれば、解約金800万円はすぐに入ります。

子会社があれば、その会社の分も解約して使えます。

生命保険を解約すれば、解約金は3日で入ります。

会社で保有する上場株があれば、売却することもできます。

社長自身の蓄えを出すこともできます。

通常の銀行借入以外にも、

すぐにある程度の資金を調達できるようにする手立てはあるのです。

 

そもそも、マサカの坂で倒産するのは借入金が多い会社です。

それに、借入金頼みの会社は往々にして、それ以外の蓄えがありません。

銀行から

「これ以上の融資はできません。」と言われれば、それで終わりです。

借入金は返済しなければならないのです。

 

ICOの基本的な考え方は、次の通りです。

・倒産するのは借入金が多い会社

・金融機関も仕入れ業者のひとつとして交渉する

・必要な借金は健全な範囲内でしてもよい(純資産と同額まで)

・現預金は月商の半分でいい(現預金も在庫である)

・日頃から簿外の蓄えを備えておく(節税、保険など)

 

借入金に依存する財務体質は極めて危険です。

非常事態にお金があっても、しょせんは借入金です。

銀行は先行きのメドがたたなければ、平気で回収に動きます。

追加融資を打ち切る、サービサーへ売却する、破産申し立てをする、

といったことを、容赦なく仕掛けてくるのです。

中小企業を借金漬けにする小山氏のやり方では、

本当の経営危機を乗り越えることは絶対にできません。

 

全面的に銀行借入に頼るのではなく、自社の力でマサカの坂に備え、

有事の資金対策を確保しておいてほしいのです。

小山氏の書籍は、銀行を喜ばせるだけなのです。

 

(古山喜章)

2024年4月 4日 (木)

小山昇氏の銀行対策はおかしい!(14)

小山昇氏著「1%の社長しか知らない 銀行とお金の話し」

がよく売れています。

しかし、同氏の持論は危険です。

“銀行からは借りれるだけ借りておきなさい”

“借金をして常に潤沢な現預金を持ちなさい”

この論理は、

“とにかくお金があれば安心できる”

という、財務を勘違いしている中小企業の社長には刺さるでしょう。

しかしこの考え方は、経営における明らかなミスリードなのです。

 

(14)銀行はどんな手を使っても回収に動く

 

会社が資金繰りに追われ始め、

社長は精神的ダメージで、見た目にその症状が現れ始めます。

頭の中はもはや、資金繰りのことしかない状態となるのです。

その様子を見れば、銀行はすぐに全額回収の危機を察知します。

となると、銀行はどんな手を使ってでも、

貸したお金をできるだけ多く回収しようと、容赦なく動きます。

 

まず、銀行管理に陥り、

一切の支出に関して、銀行の承認が必要になります。

仕事をしていない親族などは、真っ先に辞めさせられます。

当然、あらゆる経費が最低限に絞られます。

まさに聖域なきコストダウンが行われます。

 

それでも全額回収の見込みがなければ、

銀行は貸しているお金を債権として、サービサーへ売却します。

概ね、貸しているお金の1割で売ります。

サービサーは、1割以上を回収できれば、それが儲けとなります。

経営者はサービサーからの回収に追い込まれてゆきます。

こちらのほうが銀行よりもさらに取り立てが厳しいです。

 

しかし、サービサーへの売却はまだましなほうです。

もっとひどいのは、

銀行が裁判所に破産の申し立てをしてしまうことです。

破産の申し立ては、債権者の立場であれば可能です。

“会社が破産したら、まったく回収できないのでは”と考えがちです。

それは違います。

社長が個人保証をして会社で借金をしていたら、

会社が破産すればその弁済は個人に及びます。

社長個人の預金、不動産、証券など、

銀行は社長の資産状況をある程度把握しています。

「これは会社を破産させて、社長個人から回収したほうが、

多く回収できそうだ。」

と銀行が判断すれば、破産申し立てに動くのです。

 

こうなれば、社長は身ぐるみはがされます。

家族全員が路頭に迷います。親戚関係も崩壊します。

このようなことが、実際に起こっているのです。

必要以上に借金が多いということは、

想像を絶する恐怖と精神的ダメージへのリスクを抱えることです。

そのような状況に陥ってほしくないのです。

だから、

小山氏の書籍にある通りのことを、絶対にしないでほしいのです。

 

(古山喜章)

2024年4月 3日 (水)

小山昇氏の銀行対策はおかしい!(13)

小山昇氏著「1%の社長しか知らない 銀行とお金の話し」

がよく売れています。

しかし、同氏の持論は危険です。

“銀行からは借りれるだけ借りておきなさい”

“借金をして常に潤沢な現預金を持ちなさい”

この論理は、

“とにかくお金があれば安心できる”

という、財務を勘違いしている中小企業の社長には刺さるでしょう。

しかしこの考え方は、経営における明らかなミスリードなのです。

 

(13)「実質無借金経営」など目指すな

 

この本には、次のように書いてあります。

“「実質無借金経営」を目指しなさい。

それは、返済しようと思えばいつでも返済できる状態。

現預金を増やして「緊急支払い能力」を高めておく。

目安は月商の3倍以上の現金。”

 

要は、いついかなるときも最大限の借入金をして、

現金をたくさん抱えておきなさい、と言うのです。

「返そうと思えばいつでも全部返せます。うちは実質無借金です。」

という中小企業の社長は確かにいます。

しかし、常に借入金で現金を抱えている中小企業の社長が、

一気に全部返したことを、見たことも聞いたこともありません。

そのような考えの人に、全部返す、などという発想はないのです。

借金をしてまで現金を抱えることへの、言い訳にすぎません。

 

こんなことを勧める小山氏は、本当の資金繰りの怖さを知らないのです。

借りられるだけ借りていた状態で、マサカの坂がきたらどうなるのか。

大震災がきた、〇〇ショックがきた、大口の取引先が倒産した、等。

売上高は激減します。

例え現金があっても、しょせんは借金なので、返済は発生し続けます。

給料や家賃などの固定費だけでも厳しいのに、そこへ返済金が加わります。

資金繰りはみるみるうちに厳しくなります。

 

あるいは、在庫がたくさん必要な商売や、

先にお金を支払って仕入れる海外貿易が必要な商売の場合も危険です。

要は、回収が遅い商売です。

「実質無借金」だから大丈夫、とたくさん持っていたはずの現金も、

気が付けば大量の在庫や海外仕入れの支払いに食われていきます。

お金があれば使ってしまうのが、中小企業の経営者なのです。

そこにマサカの坂が来たら、資金繰りは一気に悪化します。

 

「資金繰りが厳しくなるのは、借入金がなくても同じじゃないですか。」

という人がいます。全然違います。

まず、借入金がないので、すぐさまの返済金は不要です。

それに、財務体質が良ければ、すぐに取引銀行から資金調達できます。

しかもその時に返済条件を決めるので、状況を理解してもらいやすいです。

当座貸越契約があれば、なおのこと早く調達できます。

 

一方で、常日頃から限界まで借りている会社にマサカの坂が発生して、

銀行が新たに貸すことは、絶対にありません。

借金過多の社長はそれがわかると、これ以上は借りられない、という恐怖と、

お金がどんどん減ってゆく、という恐怖のダブルパンチです。

寝ても覚めても、資金繰りのことしか考えられなくなります。

精神的にどんどん追い込まれ、身体に異変が生じ始めます

血のションベンが出る。髪の毛が一気に白くなる。

円形脱毛症が起こる。顔面神経痛になる。

等など、さまざまな症状が表に出てきます。命がどんどん縮むのです。

 

経営危機に陥っても、無借金であれば、

資金調達の手立ては残されています。

それだけで、精神的なダメージはかなり浅くなります。

命が一気に縮むほどの異変までは、体に生じません。

それくらいの違いがあるのです。

それに銀行は、全額回収できないとわかると、どんな手を使ってでも、

少しでも多く回収しようとします。

その怖さについても、次回に書かせていただきます。

 

(古山喜章)

2024年4月 2日 (火)

小山昇氏の銀行対策はおかしい!⑫

小山昇氏著「1%の社長しか知らない 銀行とお金の話し」

がよく売れています。

しかし、同氏の持論は危険です。

“銀行からは借りれるだけ借りておきなさい”

“借金をして常に潤沢な現預金を持ちなさい”

この論理は、

“とにかくお金があれば安心できる”

という、財務を勘違いしている中小企業の社長には刺さるでしょう。

しかしこの考え方は、経営における明らかなミスリードなのです。

 

⑫銀行の言いなりで何が良いのか

 

この本には、次のように書いてあります。

「金融機関から「借りてください」と申し出があったら断らない。(無担保・無保証で)借入をして資金調達力を高めたほうが、財務の安全性・健全性を確 保できる。」

銀行から「借りてください」のお願いがきたら、

断らずに借りなさい、と言うのです。

なぜ、そこまで銀行の言いなりにならなければいけないのか。

 

さらに理解できないのが、その文章に続く文言です。

“借入をして資金調達力を高めたほうが・・・”

借入をしていないから、資金調達力が高いのであって、

銀行の言いなりにとことん借入をして、なぜ、資金調達力が上がるのか?

 

私たちICOが考える、資金調達力の目安は、

純資産と同額まで、です。

経営指標で言えば、ギヤリング比率100%までです。

ギヤリング比率=((長短借入金)÷純資産額)×100

純資産に対してどれだけの借入金があるか、

を示すのがギヤリング比率です。

 

小山氏は、たとえ借入金であろうと、

現預金の多いほうが資金調達力は高いと銀行は見る、

という考え方です。

それはかつてダイエーの中内さんが言った、

“借入金が多くなれば銀行はその会社をつぶせない”

という発想と同じです。

ダイエーをはじめ、

そのような発想の会社はことごとく倒産しています。

 

「借りてください」の申し出があったら断らない。

銀行に対してそのような考えの会社があれば、銀行員は大喜びです。

しかし、そのような状況はいつまでも続きません。

危険を察知したら、すぐさま回収に動き出すのも銀行なのです。

そもそも借りれば借りるほど、貸借対照表の負債が大きくなります。

各経営指標が悪化します。

銀行格付け(スコアリング)も悪くなります。

資金調達力は、どんどん下がるのです。

銀行借入に対してこのような危険思想を勧める小山氏の本は、

まったくもって、悪書なのです。

 

(古山喜章)

2024年4月 1日 (月)

小山昇氏の銀行対策はおかしい!⑪

小山昇氏著「1%の社長しか知らない 銀行とお金の話し」

がよく売れています。

しかし、同氏の持論は危険です。

“銀行からは借りれるだけ借りておきなさい”

“借金をして常に潤沢な現預金を持ちなさい”

この論理は、

“とにかくお金があれば安心できる”

という、財務を勘違いしている中小企業の社長には刺さるでしょう。

しかしこの考え方は、経営における明らかなミスリードなのです。

 

⑪「借金をする人=事業計画を立てられる人」は本当か?

このシリーズ、10回で終わるつもりが延長戦に入りました。

 

この本には、こう書いてあります。

「借金をする人=事業計画を立てられる人」

これが本当なら、

「借金をしない人=事業計画を立てられない人」ということになります。

そんなことは絶対にありません。

借金をせずに健全な財務体質でありたいから、事業計画を立てるのです。

その結果として、

常日頃から借金をしなくてもいい、健全な財務体質になったのです。

借金だらけの会社を承継して経営計画をたてて実践し、

血のにじむ思いで無借金にたどりついた後継社長が、

いくらでもいるのです。

そのような思いで経営をしてきた経営者にすれば、

小山氏のこの言葉は、暴言としか思えないのです。

 

そもそも中小企業を見ている限り、

事業計画を立てられない社長のほうが、無謀な借入金をしています。

返済原資となる、年間で生じるキャッシュを考えずに、

借入金がじわじわと増えているのです。恐ろしいです。

 

かつて、消費者金融のテレビCMで、

“ご利用は計画的に”というコピーがありました。

こちらからすれば、

「いやいや、

計画的にできないから、あなたのところで借りるんですよ。」

とツッコミたくなったのです。

それと同じです。

小山氏の本には、

「無借金にこだわると、ベンチャー精神が失われ、社内の活力が急速に失われてゆく」と書いてあります。

よくもまあ、そんな無責任なことを言うなあ、

と思わずにいられないのです。

借金体質の人は、借金をして現金を手中にすると、元気が出ます。

「よっしゃ!次こそは一発大当たりや!」と意気込むのと同じです。

 

無借金だと社内の活力がないのか、というと、

そんなことは全くありません。

従業員への待遇や職場環境も、充実させることにお金を使いやすいです。

借金が多く、常に資金繰りに奔走している社長の会社のほうが、

活力がありません。

従業員や職場環境のことなど、考えている余裕がないのです。

借金が多いということは、いつそのような状況に陥るかわからない、

ということなのです。

 

(古山喜章)

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