小山昇氏の銀行対策はおかしい!(17)
小山昇氏著「1%の社長しか知らない 銀行とお金の話し」
がよく売れています。
しかし、同氏の持論は危険です。
“銀行からは借りれるだけ借りておきなさい”
“借金をして常に潤沢な現預金を持ちなさい”
この論理は、
“とにかくお金があれば安心できる”
という、財務を勘違いしている中小企業の社長には刺さるでしょう。
しかしこの考え方は、経営における明らかなミスリードなのです。
(17)現預金が多い会社は気を付けなさい
小山氏は、借りられるだけ借りて、
とにかく現預金をたくさん持ちなさい、と書いています。
私たちICOでは、
余計な借り入れはせず、できる限り現預金はギリギリで回しなさい。
特に決算時は最小限にしなさい、と言い続けています。
それをできるのが、優秀な経理担当なのです。
その変わり、急な資金対応が必要な事業の会社は、
銀行と当座貸越契約を結んでいます。
あるいは、生命保険で蓄えた解約返戻金や、
倒産防止共済で貯めた簿外資金を蓄積しています。
今日明日にすぐにお金が要る、という資金は通常ありません。
数日で調達できれば対応可能なはずです。
小山氏の言うとおりに、
借入金をしてでも現預金を月商の数か月分も持っていると、
そのような会社は気をつけるべきことがあります。
現預金を日常的に多く持つ会社で起こりやすいのが、
まずは経理担当による、横領や使い込みです。
おそらく、毎日どこかの会社で起こっています。
今まで私たちも、そのような横領事件を目の当たりにすることが、
何度もありました。
そのようなことが起こる会社の特徴は、
現預金が多い、
残高や入出金のチェックを経理担当以外の者がしていない、
要はまかせっぱなしになっているのです。
人間、やはり魔がさすこともあります。
大金を自分の一存で動かせる、チェックもない、
となると、そのようなことが起こり得るのです。
大谷選手の通訳をしていた彼も同じです。
そもそも現預金がギリギリしかなければ、そのようなことは起こりません。
経理担当だけではありません。
現預金がふんだんにあると、誘惑にかられるのは経営者です。
事業に関係のない土地や株を買って大損する。
社長個人が会社から多額の借入金をして儲け話に手を出し、失敗する。
そのようなことを、何度も見てきたのです。
現預金がたくさんあるから、誘惑に惑わされるのです。
気付けば、いざというときのための借入金が、
現預金からよからぬ固定資産や貸付金に変っているのです。
現預金を必要以上に抱えるのは、
そのようなリスクを抱えることにもなるのです。
リスクを回避するためには、チェックをすることが必要になります。
本業の業績には関係のない、余計な管理に時間を費やすこととなるのです。
それであれば、必要以上な現預金を抱えることなく、
ギリギリでの資金繰りを実践すればいいのです。
そうすれば、
悲しき罪びとを生み出すようなことには、ならないのです。
(古山喜章)
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小山昇の株式会社武蔵野では、過去に何度も着服事案があったそうです。
リンクは、日経ビジネス電子版の小山の本の宣伝記事ですが、33万円の着服が最近あったと書いてあります。
古山さんのほうが圧倒的に正しそうですが、小山信者の社長さんには響かないんですかね・・・
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/16/122700035/100900021/
投稿: とおりすがりのオッサン | 2024年4月17日 (水) 15時14分