小山昇氏の銀行対策はおかしい!⑫
小山昇氏著「1%の社長しか知らない 銀行とお金の話し」
がよく売れています。
しかし、同氏の持論は危険です。
“銀行からは借りれるだけ借りておきなさい”
“借金をして常に潤沢な現預金を持ちなさい”
この論理は、
“とにかくお金があれば安心できる”
という、財務を勘違いしている中小企業の社長には刺さるでしょう。
しかしこの考え方は、経営における明らかなミスリードなのです。
⑫銀行の言いなりで何が良いのか
この本には、次のように書いてあります。
「金融機関から「借りてください」と申し出があったら断らない。(無担保・無保証で)借入をして資金調達力を高めたほうが、財務の安全性・健全性を確 保できる。」
銀行から「借りてください」のお願いがきたら、
断らずに借りなさい、と言うのです。
なぜ、そこまで銀行の言いなりにならなければいけないのか。
さらに理解できないのが、その文章に続く文言です。
“借入をして資金調達力を高めたほうが・・・”
借入をしていないから、資金調達力が高いのであって、
銀行の言いなりにとことん借入をして、なぜ、資金調達力が上がるのか?
私たちICOが考える、資金調達力の目安は、
純資産と同額まで、です。
経営指標で言えば、ギヤリング比率100%までです。
ギヤリング比率=((長短借入金)÷純資産額)×100
純資産に対してどれだけの借入金があるか、
を示すのがギヤリング比率です。
小山氏は、たとえ借入金であろうと、
現預金の多いほうが資金調達力は高いと銀行は見る、
という考え方です。
それはかつてダイエーの中内さんが言った、
“借入金が多くなれば銀行はその会社をつぶせない”
という発想と同じです。
ダイエーをはじめ、
そのような発想の会社はことごとく倒産しています。
「借りてください」の申し出があったら断らない。
銀行に対してそのような考えの会社があれば、銀行員は大喜びです。
しかし、そのような状況はいつまでも続きません。
危険を察知したら、すぐさま回収に動き出すのも銀行なのです。
そもそも借りれば借りるほど、貸借対照表の負債が大きくなります。
各経営指標が悪化します。
銀行格付け(スコアリング)も悪くなります。
資金調達力は、どんどん下がるのです。
銀行借入に対してこのような危険思想を勧める小山氏の本は、
まったくもって、悪書なのです。
(古山喜章)
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小山のやってる株式会社武蔵野は非上場なので決算とか分かりませんが、以前上場企業のfonfun(ココも小山信者の会員企業)の筆頭株主が武蔵野だったので、武蔵野の2022年4月期の財務諸表だけはfonfunがネット上で公開していて見られました。
で、武蔵野はその当時は純資産13億4600万円で、負債の合計は31億6300万円(固定負債26億2000万円、流動負債5億4300万円)でした。
会員企業に言うだけじゃなく、小山自身も大量借り入れを実践しているようです・・・(^_^;)
投稿: とおりすがりのオッサン | 2024年4月 4日 (木) 11時13分