今は本当に金利ある世界なのか⑤
2024年3月、マイナス金利が解除されました。
マイナス金利導入の2016年から、8年を経過しての解除です。
報道ではやたらと「金利ある世界」になった、と言います。
金利がすぐにもどんどん上がるかのように報道されています。
しかし、本当にそうなのでしょうか。
⑤金利急上昇の記事にダマされるな
5月29日の日経新聞に、
「長期金利 上昇急ピッチ」という記事がありました。
12年ぶりに1.025%になった、というのです。
とはいえ、この12年は、歴史的な低金利が続いた時代です。
この30年の長期金利の推移をみると、
このような感じです。
2000年から2010年までの間は、
2.0%から1.0%へと、10年かけて、
上がったり下がったりしながら、下がってきたのです。
それを、1.025%になったからといって、
“上昇急ピッチ”などというのは、あまりにも言い過ぎ記事です。
こんな記事は、銀行が金利を上げるための記事として、
喜ばれるだけです。
同じ日の日経新聞の別の記事では、
「中小企業の設備投資は依然として進まず」
とありました。
中小企業にすれば、金利が急上昇、などと言われると、
設備投資が余計に進まなくなるだけです。
長期金利が1.025%になったといえども、
まだまだ低金利なのです。アメリカは5%です。
だから円安になるのです。
円安は困る!と言いながら、
個人ベースでは多くの人が、ドル建ての生命保険に加入したり、
アメリカ株に投資をじゃんじゃんしているのです。
アメリカ経済がまだまだ強いのは当たり前なのです。
金利の上昇が急ピッチ、などと書くのは、
もう少し長いスパンで見てそうであれば許せます。が、
上昇が始まっただけで、実際にはまだ、時期尚早です。
おそらく銀行はこのような記事をもとに、
固定金利を勧めてきたり、短期融資の金利アップを要求してきます。
そのような言葉の言いなりにならず、
「上がったといっても、何%なんですか?
この30年でみたらどうなんですか?」
くらいは言い返してほしいのです。
(古山喜章)
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