今は本当に金利ある世界なのか②
2024年3月、マイナス金利が解除されました。
マイナス金利導入の2016年から、8年を経過しての解除です。
報道ではやたらと「金利ある世界」になった、と言います。
金利がすぐにもどんどん上がるかのように報道されています。
しかし、本当にそうなのでしょうか。
②今のタイボ金利は2011年と同じ
「金利はタイボ(TIBOR)+スプレッド(上乗せ)にしなさい!」
と言い続けております。
タイボ(TIBOR)は、Tokyo InterBank Offered Rateの略です。
東京の銀行と銀行の間で日々取引される、
短期コール市場という取引相場の金利です。
毎日、変動するので、タイボ+スプレッドは、変動委金利です。
スプレッド(上乗せ)は、タイボ金利に加算する金利のことです。
長らく低迷していたタイボ金利も、
日銀がマイナス金利を解除して以来、じわじわ上がっています。
しかし、それをもって、
「金利がどんどん上がってきた!」
というのは、言い過ぎです。
まずは現状の上がり幅がどうなのか、ということです。
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タイボ金利の推移のグラフをご覧ください。(1ケ月タイボです)
マイナス金利の時は、タイボ金利が0.05~0.07程度でした。
それが直近で、0.18273%です。
しかし、この金利もこの15年程度の推移でみると、
まだまだかなり低いことがわかります。
今のタイボ金利は、東日本大震災のあった、
2011年と同じレベルなのです。
さらにその前の2008年、リーマンショックの年で、
0.6833%でした。
その頃、すでにデフレモードで低金利になった、
と言われていた時代です。
その時に比べると、金利が上がってきた、とはいうものの、
金利ある世界に入ってきた、とまでは言い難いと思うのです。
ましてや、定期預金の金利が
0.001%から0.02%に金利が変わって
「金利が20倍になった!」と騒がしい報道をするのは、
情報による印象操作も甚だしいのです。
0.02%でも、まだまだ低金利です。
先のグラフを見ると、リーマンショックのあと、
3年ほど経過して金利が大きく下がっています。
上がる時も同じだと思うのです。
今の日本銀行は、3年ぐらいかけて、
金利を上げようとしているのではないか、と考えるのです。
なので、
タイボ金利が上がってきた!とはいうものの、
すぐに固定に切り替えたりする必要はないのです。
(古山喜章)
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