業績不振の銀行に気を付けなさい➂
2024年4月下旬、山形県のきらやか銀行が、
注入された公的資金の返済期限延長を国に申し入れした、
と報道されました。
➂貸しはがしは、銀行の経費削減策です
きらやか銀行から1行取引で融資を受けていた会社が、
倒産し始めました。
融資の返済期限が来たら再び融資をする、
いわゆる転がし融資をしなくなったのです。
これが、貸しはがしです。
“きらやかは親身になって貸してくれる”と信じていた、
借入金ありきで存続していた会社が倒産しているのです。
貸しはがしは、銀行にとっては経費削減策となります。
格付(スコアリング)が悪くリスクの高い会社にお金を貸すには、
そのリスクに応じて高い貸倒引当金を、
銀行は計上する必要があります。
その費用は銀行の場合、経費扱いです。
公的資金の返済延長を申し入れし、
2年連続で大赤字のきらやか銀行は、早期の黒字化が必須です。
まずできるのは、貸倒引当金の経費削減です。
となれば、
財務状況が悪く格付(スコアリング)の悪い会社への
融資をまずは引き上げる、つまりは貸しはがす、
という策に出るのは当たり前なのです。
中小企業の経営者から、
「この地域の○○銀行はかなり無理をきいてくれる。」
「よそは貸してくれなくても○○銀行はずっと貸してくれる」
等という声を聞くことがあります。
そのような銀行は危険なのです。
そのような銀行の傾向は、
長期で貸していたお金を、短期に切り替えようとしてきます。
短期なら、一年単位で期限が来ます。
その期限で繰り返しの融資をしなければ、
簡単に貸しはがしをできるからです。
そもそも短期借入金は運転資金を目的とした融資です。
なのに、長期融資を短期融資に切り替えるなど、
銀行が言い出すこと自体、不自然なことなのです。
しかし、多くの経営者はそんなことには気づかないのです。
もし融資を受けている銀行から、
「長期を短期に切り替えませんか」と提案を受けたら、
「貸しはがししやすいからですか?」
と言ってみてほしいのです。
(続く・・・)
(古山喜章)
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