経営者を悩ませる専門家たち④
経営には意思決定が必要です。
自分自身で判断がしづらい時には、
周りの専門家の声にも耳を傾けます。
しかし、聞けば聞くほど悩みが深くなってゆく、
というケースが往々にしてあるのです。
しかも、その悩みの原因を聞いてゆくと、
専門家の経験不足、知識不足、ということがあるのです。
④オフバランスに反対する税理士
例えば、
大きな含み損を抱える土地が貸借対照表に残っている場合、
私たちICOでは、その土地を別会社へ売却することを勧めています。
貸借対照表を軽くするのです。それが、オフバランスです。
売却するには、不動産鑑定士に依頼をして鑑定評価をしてもらいます。
できるだけ、安めの評価をお願いします。
そのほうが、売却する会社は大きな売却損を計上できるからです。
子会社へ低い価格で売却するほど、大きな赤字を出すことができます。
固定資産売却損となり、特別損失に計上します。
なので、営業利益や経常利益には何の影響もありません。
赤字額が大きいほど、法人税は節税できます。
予定納税のキャッシュも返還されてきます。
赤字となった金額は、繰越欠損金として、
翌年度以降へと繰り越されてゆきます。
中小企業の場合、最大10年間、赤字を繰り越すことができます。
しかし、このときに横やりを入れてくるのが、税理士です。
ある会社の社長が言いました。
「先生、うちの税理士がそんな大赤字を出したら、
税務調査で否認される可能性がある、と言うんです。」
私は社長に言いました。
「えっ、どうして否認されるんですか。
不動産鑑定士の評価を取って、その価格に基づいて売買することを
税理士に伝えましたか?」
「ええ、伝えました。いくら鑑定評価をとっていても、
節税のためにそんなことをするのは否認される可能性がある、
否認された判例がある、というんですよ。」
「じゃあ、判例文ももらってきてください。」
となり、判例文を見せてもらいました。
するとその判例は、
鑑定評価よりも半額以下にして売却している、というものでした。
「そりゃあ、これは否認されますよ!
森友学園のケースと同じじゃないですか!やりすぎですよ。」
となり、結局無事に、オフバランスを実行したのです。
オフバランス後、その会社は無借金となり、
大赤字で法人税が発生しないため、現金がどんどん貯まりました。
「おかげさまで、キャッシュリッチな会社になりました。
税理士には振り回されましたが、オフバランスをしてよかったです。」
とは社長の言葉です。
大きな赤字を出そうとすると、反対する税理士は多いです。
しかし、エビデンス(証拠書類)を揃え、妥当な金額で売買すれば、
大赤字を出すオフバランスは可能なのです。
多くの税理士は、やったことがないから、判例に頼ります。
その判例も見当違いのものをもって、謝った指摘をしてきます。
専門家の指摘だからといって、正しいわけではないのです。
そのためには、経営者自身が学び、知識を蓄えてほしいのです。
(古山喜章)
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