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2024年6月28日 (金)

経営者を悩ませる専門家たち⑤

経営には意思決定が必要です。

自分自身で判断がしづらい時には、

周りの専門家の声にも耳を傾けます。

しかし、聞けば聞くほど悩みが深くなってゆく、

というケースが往々にしてあるのです。

しかも、その悩みの原因を聞いてゆくと、

専門家の経験不足、知識不足、ということがあるのです。

 

⑤少人数私募債に反対する銀行

 

私たちICOでは、

社長退職時には、高額退職金を受け取ってください、

と常々申し上げております。

高額退職金を支給すると、純資産の剰余金が大きく減ります。

株価を下げ、後継者への経済的負荷を減らすのが目的です。

 

その際、

支給する退職金の資金は多くの場合、銀行から調達します。

その後、会社は少人数私募債という社債を発行し、

退職金を受け取った社長に引き受けてもらいます。

引き受けた元社長はそのお金を会社へ貸しつけ、

会社は元社長から受けたお金を銀行へ返します。

 

銀行から資金調達した借入金の一部を、

少人数私募債発行で得た資金ですぐに返済するのです。

銀行には、この流れを先に伝えて資金調達を依頼します。

依頼を受けた銀行の概ね半分は、少人数私募債発行に反対します。

 

「せっかく受け取った退職金は、

ご自身でお使いになられたらどうでしょうか。

 私どもはすぐに返済していただく必要はありませんので、

 そのままお借りください。」

銀行からすれば、長く貸したいのは当然です。

それに、退職した社長自身が退職金を自由に使える状況であれば、

銀行は新たな提案を社長自身にしやすくなります。

せっかく貸したお金をさらに運用してもらおう、と考えるのです。

 

加えて、ほとんどの銀行員は少人数私募債を知りません。

それだけ、発行している中小企業が少ない、ということです。

「少人数私募債って、どのようなものでしょうか?

 銀行ではどのような扱いになるのか調べますので、

 関連資料をいただけますでしょうか。」

となることがあります。

 

少人数私募債は、経営破綻時の弁済順位が低い、

いわゆる劣後債です。

なので、出資性が高く『資本性借入金』とも言われます。

概ね、少人数私募債の募集概要となる資料を提示すれば、

銀行にも理解を得られます。

 

特に地方銀行では少人数私募債を知らない、という銀行員が多いです。

ただ、少人数私募債の活用を反対しないのも、地方銀行が多いです。

それだけ地方銀行のほうが、

まずは目先の貸しつけがほしい、ということなのだと思います。

少人数私募債を使って数か月後に一部を返済されようが、

まずは退職金となる資金を借りてほしい、の一心なのです。

 

少人数私募債は、まだまだ運用事例が少なく、

銀行から反対されたり、質問を受けることが多いです。

しかし、銀行が知らないからこそ、

こちらが資金調達に対して知識が豊富であることを、

アピールする機会にもなります。

そのためにも、少人数私募債に関する知識を、

学んでおいてほしいのです。

 

(古山喜章)

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