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2024年7月

2024年7月31日 (水)

転ばぬ先の杖③

顧問先の会議に出席していると、

トラブル、争いごとが耳に入ってきます。

 

(ケース1)

これは、海外製の機械の販売代理店 横浜商事(仮)の話です。

 

5年前に、ドイツ製機械の販売代理権を手にして以来、

横浜商事の営業力もあり、

着実に、成果を出し続けてきました。

 

いまでは、優秀代理店として、

表彰されるまでになりました。

その優秀さは、日本だけでなく、

世界中の販売代理店のなかでも特筆すべきもの、

ということで、特別表彰も受けるほどでした。

 

ところが、その反面、

ドイツの本国メーカーからは、

高い販売目標が掲げられ、

加えて、彼らの決算月には、

大量の在庫が押し込まれる事態になりました。

 

本国メーカーは、上場しており、

投資家から評価を得なければ、

株価が下がります。

 

ですから、自分たちの業績をつくるために、

過度な販売目標を掲げさせたり、

在庫の押し込みを行ってくるわけです。

 

最近になり、それがあまりに顕著だということで、

本国メーカーに対して、

取引条件の改善や、在庫負担が重いことを、

レターにしたためて、送付しました。

 

しかし、本国メーカーは、全く意に介さないのです。

 

ずっとあれこれと交渉を続けているのですが、

よりどころは、当然ながら、販売代理契約書なのです。

 

そして、そこには、どう書いているか?

 

重要事項については、もれなく、

「ドイツ本国メーカーの裁量により決定する」

と書かれてしまっています。

 

日本の会社同士でのやりとりであれば、

GNP(義理人情プレゼント)、あるいは、

公正取引員会などに訴えるという手はありますが、

相手は、ドイツメーカーであり、

紛争発生時は、すべて、ドイツ法にのっとる、と

書かれてしまっています。

 

こうなると、形成は不利で、

いくらあがいても、形勢逆転は至難の業、

なのです。

 

(福岡雄吉郎)

2024年7月30日 (火)

転ばぬ先の杖②

顧問先の会議に出席していると、

トラブル、争いごとが耳に入ってきます。

 

その争いに、多少なりとも首を突っ込む場合もあれば、

一切を弁護士さんにお任せ、という場合もありますが、

改めて、会社には絶えず、問題が発生するものだなと、

感じます。

 

(ケース1)

これは、海外製の機械の販売代理店 横浜商事(仮)の話です。

この代理店は、いまから5年前に、

念願だった、ドイツ製機械の販売代理権を手にしました。

 

この機械は、1台1000万円程度、高いものは、

5000万円ほどする機械で、

日本においても、とても人気がありました。

 

横浜商事(仮)に販売代理権が来る前は、

別の会社が、販売代理権をもっていましたが、

機械を作っている本国メーカーとの間で摩擦がおき、

販売代理権が剥奪されました。

 

そして、その代理権が、横浜商事にやってきた、

というわけです。

 

川崎大志社長(仮名)には、

当時も今も、優秀なブレーンがいます。

もちろん、川崎社長自身が、頭脳明晰でおられますが、

脇を固めるブレーンもまた、何人もおられます。

 

契約書などの法務関係は、

大手の法律事務所の弁護士の助言を得て、

本国メーカーとの契約を交わしたのが、5年前でした。

 

それから、5年経ち・・・

本国メーカーとの間で、大きな摩擦が生まれたのでした。

 

 

(福岡雄吉郎)

2024年7月29日 (月)

転ばぬ先の杖①

 

顧問先の会議に出席していると、

トラブル、争いごとが耳に入ってきます。

 

その争いに、多少なりとも首を突っ込む場合もあれば、

一切を弁護士さんにお任せ、という場合もありますが、

改めて、会社には絶えず、問題が発生するものだなと、

感じます。

 

そして、そのトラブルを間近で見ていて思うことは、

転ばぬ先の杖 の重要性です。

 

「あのとき、ああしておけばなぁ・・・・」

「どうしてあのとき、こうしてしまったのか・・・・」

など、反省することしきりです。

 

と同時に、トラブルが発生してしまったあとは、

「いまさら、どうしようもないな・・・」

と感じることが、多々あります。

 

それでも、顧問先にとって、

少しでもよい結果が得られるように、

こちらとしても、無い知恵を振り絞るわけですが、

やはり、事後的にあれこれ考えても、

不利な形成をひっくり返せる、

ウルトラC的な対策は生まれてくることはありません。

 

やはり、

「最初の入り口がとても肝心だなぁ」

と思うのと同時に、

・記録を残しておくことの大切さ

・弁護士選びの重要性

も、ひしひしと感じるのです。

 

(福岡雄吉郎)

2024年7月26日 (金)

政府系銀行を活用していますか⑤

融資を受けている銀行をお聞きすると、

メガバンクや地方銀行のみ、ということがあります。

しかしもうひとつの選択肢として、政府系銀行があります。

「どうして政府系からは借りていないのですか?」

とお聞きしても、多くの場合、特にその理由はありません。

政府系銀行には、民間銀行にはないメリットがります。

中小企業こそ、政府系銀行の特徴を理解し、

活用してほしいのです。

 

⑤経営破綻時の追い込みがない

 

民間銀行の場合、融資先が経営破綻に陥った際、

その債権を銀行系の債権回収会社(サービサー)へ売却します。

融資額の10%が相場です。

銀行にすれば、10%でも回収できればラッキーなのです。

 

そしてその不良債権を買った債権回収会社は次に、

オーナー経営者への取り立てに動きます。

10%で買ったので、それ以上の金額を取り立てれば、

上乗せ分が債権回収会社の儲けになる、というわけです。

逆に全く回収できなければ、買取に使った資金全額がパーです。

だから、必死に取り立てます。

その専門会社なので、容赦ありません。

執拗に追い込んでゆくのです。

 

ところが、政府系銀行はここが違います。

債権回収会社への売却がありませんし、取り立てもありません。

実際に経営破綻された会社の元社長にお聞きしました。

その会社は破綻時、民間銀行で4億円、

政府系銀行で8億円の借入金がありました。

 

「政府系銀行からの借入金、8億円はどうなりましたか?」

するとその元社長はこう言いました。

「あれは全く返していないです。

 担当者が資料を作成してきて捺印したら、それでチャラですわ。

 あれは助かりました。」

「民間銀行の借金はどうなったんですか?」

「サービサーに売られて、そこからしつこく督促に来ましたね。

 あれはなかなか、あきらめないですよ。

 今もちょびちょび返せる範囲で返済し続けています。」

 

とのことだったのです。

政府系銀行の融資資金は顧客の預金ではなく、

貸すために政府から入ってきたお金です。

なので融資資金の回収に、そこまで注力しないのです。

 

経営破綻はしないほうがよいです。

が、万一そのような事態に陥った際のリスクを思えば、

追い込みのない政府系銀行は、ありがたい存在なのです。

 

(古山喜章)

2024年7月25日 (木)

政府系銀行を活用していますか④

融資を受けている銀行をお聞きすると、

メガバンクや地方銀行のみ、ということがあります。

しかしもうひとつの選択肢として、政府系銀行があります。

「どうして政府系からは借りていないのですか?」

とお聞きしても、多くの場合、特にその理由はありません。

政府系銀行には、民間銀行にはないメリットがります。

中小企業こそ、政府系銀行の特徴を理解し、

活用してほしいのです。

 

④資金繰りが厳しい時に待ってもらいやすい

 

政府系銀行も銀行なので、融資したお金の返済には敏感です。

しかし、その対応は、

民間の銀行に比べると、ずっとましなのです。

 

資金繰りが厳しい状況に陥っている会社がありました。

民間銀行からも、政府系銀行からも、借りられるだけ借りていました。

当座貸し越し枠があるものの、常に枠いっぱい借りていて、

それ以上、借りることができない状況にありました。

社長も経理も、常に金策に追われていました。

 

社長曰く、

「入金日の関係で、資金繰りが厳しいときは、

融資の返済日を少しずらしてもらいます。」

と言うのです。

「そんなこと、できるんですか?」と聞くと、

「何日かの入金ズレで返済できれば、

 政府系の銀行は待ってもらえますよ。

 民間の銀行は厳しくて、数日でも待ってくれないです。」

と、おっしゃるのです。

 

返済が1ケ月遅れるとなると、政府系銀行も難色を示すでしょうが、

祝日・休日の関係で入金日が数日ズレてしまう、

先方の都合で入金日が若干遅れてくる、

ということには、政府系銀行は対応してもらえていたのです。

 

融資資金の回収に対して、

政府系銀行は民間銀行ほど厳しくない、ということです。

それは、先日述べたとおり、

政府系銀行は、政府による資金繰り支援を目的とした銀行であり、

民間銀行は、集めた預金をもとに稼ぐことが目的、

との違いによるものだと思われます。

 

資金繰りがマサカの坂で厳しくなるかもしれない、

ということを想定すると、

数日とはいえ、返済日を延ばすことを受けてくれ銀行がある、

というのは、経営者にとっての安心材料なのです。

 

(古山喜章)

2024年7月24日 (水)

政府系銀行を活用していますか➂

融資を受けている銀行をお聞きすると、

メガバンクや地方銀行のみ、ということがあります。

しかしもうひとつの選択肢として、政府系銀行があります。

「どうして政府系からは借りていないのですか?」

とお聞きしても、多くの場合、特にその理由はありません。

政府系銀行には、民間銀行にはないメリットがります。

中小企業こそ、政府系銀行の特徴を理解し、

活用してほしいのです。

 

➂余計なセールスに来ない

 

民間の銀行は、やたらとセールスを勧めにやってきます。

「今ならリターンの有利な投資商品があります。」

「事業承継の提案をさせていただいてもよろしいでしょうか。」

「私どもで全部引き受けますので、社債を発行しませんか。」

等など、手を変え品を変え、やってきます。

 

一度でもそのセールスに応じていると、

なおのこと、“これはチャンスがある”と思わせてしまい、

どんどんやってきます。

そして銀行員のセールスに乗せられ、

会社では不要なデリバティブや仕組債の商品を、

借入をしてまで買ってしまった、大損してしまった、

という例も多々あるのです。

 

加えて、会社だけでなく、社長個人にも、勧めてきます。

昨日も申し上げた通り、

会社も個人も、民間銀行に預金口座を持っています。

会社の場合は決算書も把握されています。

その中身をみて、セールスにやってくるのです。

 

セールスの対応には、結構な時間をとられます。

タイム・イズ・マネーからすれば、大きなコストです。

一方、政府系銀行の場合は、

セールスで訪問に来る、ということがありません。

来るのは、業況を伺いに来る時だけです。

融資の返済に向けて、資金を投じた事業の状況はどうか、

といったことを聞き取りに来られます。

 

これは、民間銀行でも同様のことです。

要は、返済能力に変化がないか、チェックしているのです。

民間銀行の場合は、それに加えて余分なセールスが多いのです。

それがないだけでも、

政府系銀行は余計な時間をとられず、ありがたい存在なのです。

 

(古山喜章)

2024年7月23日 (火)

政府系銀行を活用していますか②

融資を受けている銀行をお聞きすると、

メガバンクや地方銀行のみ、ということがあります。

しかしもうひとつの選択肢として、政府系銀行があります。

「どうして政府系からは借りていないのですか?」

とお聞きしても、多くの場合、特にその理由はありません。

政府系銀行には、民間銀行にはないメリットがります。

中小企業こそ、政府系銀行の特徴を理解し、

活用してほしいのです。

 

②政府系銀行は預金の必要がありません

 

民間の銀行は、

個人や法人から集めた預金を元にして、

融資や運用を行います。

 

一方、政府系銀行は預金の必要がありません。

国会で決議された予算に基づいて、

財務省が政府系銀行へ、資金を投入します。

その資金を、必要な企業などへ貸し付けるのです。

 

預金が必要ないので、管理はラクです。

それに、定期預金のような預金も発生しません。

そもそも、現状の民間銀行はまだまだカネ余りです。

かつてのバブル期以前のような、

資金需要が旺盛な時代ではありません。

銀行員が預金集めに奔走する、という時代ではないのです。

 

そのため、民間銀行の担当者は、

取引先企業にお願いして、必要のない融資を押し付けてきます。

「多めに融資しますので、多い分は定期預金でいかがでしょうか?」

などと言ってくるのです。

いわゆる、歩積み両建てです。

これは、優越的地位の濫用に当たるのです。

金融庁から禁止されていても、実態として、まだ存在しています。

 

“必要以上に過度な融資をしてはいけない”

というのが、金融庁から民間銀行へのお達しであり、ルールなのです。

しかし民間銀行は、そんなことはおかまいなしに、

提案を受けてくれそうな財務担当に、要求してくるのです。

で、カネ余りの銀行の現状を知らない財務担当は、

「ならば借りられるだけ借りておこう。」などとなります。

財務状況を悪化させてしまうのです。

 

その点、政府系銀行は預金が必要ありませんので、

このような事態には陥りません。

必要な資金を借りるだけ、なのです。

預金の必要有無も、

民間銀行と政府系銀行の、大きな違いなのです。

 

(古山喜章)

2024年7月22日 (月)

政府系銀行を活用していますか①

融資を受けている銀行をお聞きすると、

メガバンクや地方銀行のみ、ということがあります。

しかしもうひとつの選択肢として、政府系銀行があります。

「どうして政府系からは借りていないのですか?」

とお聞きしても、多くの場合、特にその理由はありません。

政府系銀行には、民間銀行にはないメリットがります。

中小企業こそ、政府系銀行の特徴を理解し、

活用してほしいのです。

 

①政府系銀行と民間銀行は、その目的が違います

 

メガバンク、地銀、信金など民間の市中銀行は、

金利や各種手数料などを収入とし、

儲けることで経営を継続します。

通常の株式会社と同じ、民間出資の営利事業体です。

利益を出し、永続的に経営を続けることが必要なのです。

稼ぐことが目的なのです。

 

一方、政府系銀行は違います。政府出資による株式会社です。

日本政策金融公庫や、商工中金がそうです。

商工中金は政府保有の株式比率は下がっていますが、

今も政府系銀行の役割を果たしています。

そして主に、

国会で決議された財政投融資の資金を、

日本国中の中小企業に届けるための橋渡しの役割を担います。

 

財政投融資とは、最近で言えば、コロナ融資です。

地震・水害など激甚災害発生時の、復興融資も同様です。

不測の事態に窮している中小企業を守るための融資です。

貸すことが目的なのです。

稼ぐことが目的ではないのです。

ここが民間の市中銀行とは、まったく違うのです。

 

他にも、再生エネルギーや各種設備投資の促進など、

数々の制度融資、というものがあります。

国力の基礎となる多くの企業を資金面から支援するため、

実務的な窓口として設立されたのが、

政府系金融機関なのです。

 

そのため、

貸すことを目的としたような動きがあると、

民業圧迫として、批判されるのです。

数年前、商工中金が金融庁から処分を受けたのが、

この民業圧迫行為、というものでした。

 

中小企業では、必要な資金調達をする際に、

銀行を利用することが多いです。

しかしまずは、政府系銀行と市中銀行の違いを、

よく理解して、おつきあいをいただきたいのです。

 

(古山喜章)

2024年7月19日 (金)

女族問題④

徳島県で設計事務所を営む

四国設計(仮称)の吉野三郎社長(仮名)は、

ここしばらくずっと悩んでいました。

 

お母さん、お姉さんは、

なんとかして、妹を会社に入れたがります。

 

私も、三郎社長も、

妹は会社に入れたくありません。

 

すると、

 

「三郎!亡くなったお父さんだったら、

あんたみたいな冷たい真似はしなかった!」

 

「あなたは、家族がどうなってもいいって言うの?!

血も涙もないわね!」

 

「私たちの家族は、他の家族とは違う!

もめるなんてことはあり得ない!」

 

などと、女族のすさまじい口撃の嵐・・・

 

こちらの意見に、なかなか聞く耳を一切もちません。

 

かといって、こちらも

折れるわけにいきません。

 

「だめなものはだめ」ということで、

意見を曲げずにいたところ、

 

今度は、優しい声で、

「お願いだから、入れてあげてよ~」

「妹の藍からも、三郎がどう思っているか、聞いてほしいって、

言われてるのよ~」

と言われます。

 

しかしどう言われても、

四国設計の経営そのもの、

また、三郎社長のことを考えれば、

やはり、ダメなものダメです。

 

そうこうして、口撃をかわしているうちに、

1か月後、妹の藍氏は、

愛媛で自分で事務所を構えることを決意しました。

 

私は、それでよかったと思っています。

 

三郎社長からひと言

「私一人では、女族の荒波に飲み込まれているところでした。

ありがとうございました。」

 

(福岡雄吉郎)

2024年7月18日 (木)

女族問題③

徳島県で設計事務所を営む

四国設計(仮称)の吉野三郎社長(仮名)は、

ここしばらくずっと悩んでいました。

 

吉野家のような、出戻り問題は、

中小企業でよくあるケースです。

 

一番面倒なのは、

姉、弟で、姉は嫁ぎ、弟が社長

というパターンです。

 

ありがちなのは、

姉が離婚して帰ってきて、

「生活もできないし、かわいそうだから」ということで、

“取締役総務部長”くらいの肩書で、

会社に入れるケースです。

 

こうなると困るのは、弟の社長です。

 

姉は、ビジネス感覚がない場合が多いので、

「社長だろうが、弟は弟」という感覚で、接してきます。

そうなると、会社の秩序が乱れますし、

いきなり、取締役では、他の従業員もしらけます。

 

今回の吉野家は、

もともと、姉は、やり手の設計士、

しかもトラブルメーカーときたわけで、

四国設計に入れば、弟の三郎社長はやりにくいし、

後々かならず、問題が発生することは、明らかです。

 

「福岡さんは、どう思いますか?」と聞かれましたが、

 

「入社させるべきではありません。

断固反対です。

藍さんには、愛媛で独立してもらい、

その独立を援助すべきです。

 

“かわいそう”ということなら、

金銭面で、独立の支援はしてください。

場合によっては、業務委託先、外注先として使えばよいでしょう。

しかし、会社に入れてはいけません。」

 

こう伝えるわけですが、

 

感情がもろに出ている

お母さん、お姉さんを説き伏せるのは、

一筋縄ではいきません。

 

(福岡雄吉郎)

2024年7月17日 (水)

女族問題②

徳島県で設計事務所を営む

四国設計(仮称)の吉野三郎社長(仮名)は、

ここしばらくずっと悩んでいました。

 

同じ設計士として、

違うエリア(愛媛県)で活躍している、

姉の藍氏(仮名)が離婚したのが、悩みの始まりでした。

 

この藍氏については、

三郎社長(仮名)や、母、他の姉妹からは、

とても優秀、しかし、性格に難あり、

と聞いていました。

 

そして、離婚と同じくして、

藍氏は、勤務先でも少々トラブルを起こしていました。

 

そこで、お母さん、お姉さんから、三郎社長に対して、

 

「三郎!

藍がこんな状況だから、

うちの会社に入れてあげたほうが良いと思うんだけど」

 

と提案があったのでした。

 

このお母さんやお姉さんは、

藍氏がトラブルを起こす前は、

藍氏のことを、良いようには言っていませんでした。

 

「勝ち気で、理屈っぽくて、困ったもんだ」

くらいの人物評で、

よくケンカもしていました。

 

しかし、藍氏がいざ、窮状に陥ると、

これまでの発言を180度翻し、

藍氏を擁護する発言になりました。

 

これは、これで、家族ですから、

よく理解できます。

 

しかし、問題は、

「かわいそうだから、会社に入れてあげなさい」

という考え方です。

 

(福岡雄吉郎)

2024年7月16日 (火)

女族問題①

徳島県で設計事務所を営む

四国設計(仮称)の吉野三郎社長(仮名)は、

ここしばらくずっと悩んでいました。

 

四国設計(仮称)は、

三郎社長の父である吉野川太郎(仮名)が、

いまから40年ほど前に創業した設計事務所です。

 

事務所といっても、30名くらいで、

地域の同業他社に比べれば、大所帯です。

 

その川太郎氏は、5年ほど前に亡くなり、

現在は、三郎社長が、代表取締役として奮闘しています。

 

事業を承継するにあたり、

古参幹部の退社や軋轢など、

色々とありはしましたが、

5年たって、ようやく、三郎社長のカラーも出すことができ、

経営成績としても安定してきました。

 

そんな三郎社長の悩みの種は、

姉の吉野藍氏(仮名)でした。

 

苗字が同じ「吉野」ですが、

藍氏は、つい最近に、協議離婚して、

姓が吉野に戻りました。

 

そして、この方もまた、設計士だったのです。

ただ、四国設計ではなく、

他のエリア(愛媛県)で、雇われの設計として、

ずいぶん活躍していました。

 

愛媛県出身のご主人と出会い、

愛媛に嫁いだ、というわけです。

 

ここまで聞いてなんとなく、

予想される方もいると思いますが、

三郎社長の悩みは、「出戻り」問題でした。

 

(福岡雄吉郎)

2024年7月12日 (金)

少人数私募債の相続対策⑤

ブログ読者の方より、

「高額退職金を受けたあとの、

少人数私募債の相続対策はどうすればいいんでしょうか?」

とのご質問をいただきました。

その対策として、

考えられることを、書かせていただきます。

 

⑤贈与と債権放棄のハイブリッド

 

ここまで、

少人数私募債として会社へ預けたお金のとして、

・贈与する

・現金で返してもらう

・債権放棄する

という3つの方法を紹介しました。

 

これまであった事例で言えば、

この3つを組み合わせたハイブリッド式で

少人数私募債を相続財産から消滅させた経営者も

おられました。

 

3分の1ほどを子供たちへ贈与し、

3分の1ほどを債権放棄し、

3分の1ほどを現金と振込みの半々で、

償還してもらったのです。

現金は子供や孫にプレゼントしてしまい、

振込で償還されたお金は一族での豪華旅行に使われたのです。

 

贈与、放棄、償還、の3つのどれかひとつではなく、

複数を組み合わせることをすれば、

5年~7年もあれば、会社の貸借対照表から消えてゆきます。

3つの方法の組あわせ方は、

個々の事情に応じてお考えになればよいのです。

それに、ひとつの方法で少人数私募債を消滅させるより、

複数の方法でのほうが、目立たずに済ませられます。

しかも数年にわけて実行すれば、なおのこと目立ちません。

 

少人数私募債をお勧めした時に、

皆さん気にされるのは、その出口をどうすればよいのか、

ということです。

しかしそれは、手元に現金をおいたままでも同じことです。

相続対策は必要なのです。

 

少人数私募債のほうが、債権放棄、という手段が使えます。

手元に現金をもったままでは、債権放棄できません。

その点では、相続対策として使えるカードが増えるのです。

まだまだ知られていない少人数私募債ですが、

中小企業の資金調達手段、経営者の相続対策として、

かなり使える方法なのです。

 

(古山喜章)

2024年7月11日 (木)

少人数私募債の相続対策④

ブログ読者の方より、

「高額退職金を受けたあとの、

少人数私募債の相続対策はどうすればいいんでしょうか?」

とのご質問をいただきました。

その対策として、

考えられることを、書かせていただきます。

 

④債権放棄を活用する

 

少人数私募債を引き受けてはいるものの、

「別に返してもらわなくてもいいけどなぁ…。」

という経営者は、一部におられます。

そのような経営者がとった策として、

債権放棄をした、という事例があります。

 

それは、コロナ禍の時でした。

その会社はコロナ禍の影響をもろに受け、

大赤字になっていました。

その時に、その会社の経営者は、

引き受けていた少人数私募債の半分を、

債権放棄したのです。

 

債権放棄とは、

返してもらうべきお金を、返してもらわなくていい、

と会社に依頼することです。

言葉通り、お金を貸しつけている債権を、放棄するのです。

債権放棄がなされると、

会社は返すべき負債を返さなくてもよくなったので、

会社としては利益になります。

返すべき債務が消えるので、

「債務免除益」として特別利益に計上されます。

課税対象の利益となるのです。

 

しかし、冒頭の会社は、コロナ禍で大赤字だったため、

債権放棄による債務免除益、という利益が発生したとしても、

まだ赤字だったのです。

債務免除益の利益はコロナ禍における赤字で、帳消しになったのです。

 

債権放棄をするには、

私募債の引受人が取締役会に申し入れ、

承認決議が得られれば可能です。

要は、何らか赤字が発生する時に、債権放棄を同時にぶつければ、

債務免除益が出たとしても相殺され、

課税されることはなくなるのです。

一度に全部を債権放棄するのではなく、

間に数年を開けて、何度かにわけて全額を債権放棄するなど、

時間をかけて債権放棄することで目立たなくする、

という経営者もおられます。

必要性に迫られた経営者の行動には、学ぶべきことが多いのです。

 

(古山喜章)

 

2024年7月10日 (水)

少人数私募債の相続対策➂

ブログ読者の方より、

「高額退職金を受けたあとの、

少人数私募債の相続対策はどうすればいいんでしょうか?」

とのご質問をいただきました。

その対策として、

考えられることを、書かせていただきます。

 

➂毎年、現金で償還してもらう

 

少人数私募債は発行して1年後から、

取締役会の承認を得れば、

1口単位で返還してもらうことが可能です。

 

ある経営者で、少人数私募債の一部を毎年、

現金で返還してもらっている方がいました。

その理由を聞くと、

「銀行へ行くと、私の年齢では多額の現金を

 引き出すのは、たいへんですからね。」

と言われました。

 

そのとおりです。

高齢でなくとも、

銀行で数百万円の現金を引き出すとなれば、

あれやこれやと聞かれます。

“ほっといてくれ!”と言いたくなりますが、

「マネーロンダリングの対応でいま、厳しいんです。」

と、銀行員から必ず言われます。

さらに高齢者であれば、

詐欺に騙されていないか、などの懸念も含まれ、

高額の現金を引き出すのはかなり面倒です。

 

しかし、会社に貸しつけた少人数私募債の一部を現金で

返してもらうのは、会社にお願いするだけです。

会社も銀行に

「現金の用意をお願いします。」

と言えば、そう抵抗されることもなく、準備できます。

理由を聞かれても、

“賞与で使います。”“株式の買い取りで使います。”

などと言えば、それ以上は何も言われません。

 

冒頭の経営者は、会社から返してもらった現金を、

子供たちに時折、手渡していたのです。

その際に、

「絶対に銀行口座には入れるな。

 使うか、現金のまま貯めておくかしろ。」

と子供たちに伝えていたのです。

 

やがて相続が発生して仮に調査があったとしても、

現金の動きは掴みようがありません。

調査官から、この現金はどうなったのか、と聞かれても、

相続人の銀行口座に預けられていなければ、

「さあ、わからないですねぇ・・・。」で終わりです。

それに、

銀行口座を遡ってチェックされるのは、最長10年です。

相続税調査から過去10年以上を経過していたら、

もはや調べようもありません。

だから、冒頭の経営者はなるべく早く子供たちに贈与すべく、

少人数私募債を現金で返してもらったのです。

皆さん、本当にいろいろとお考えになり、

取組まれているのです。

 

(古山喜章)

2024年7月 9日 (火)

少人数私募債の相続対策②

ブログ読者の方より、

「高額退職金を受けたあとの、

少人数私募債の相続対策はどうすればいいんでしょうか?」

とのご質問をいただきました。

その対策として、

考えられることを、書かせていただきます。

 

②数口ずつ贈与する

 

少人数私募債は1口の金額を決めて、

49口以下を発行する社債です。

これまで実際におられたのは、

毎年、2~3口を後継者やそれ以外の子供に贈与する、

という経営者です。

その方曰く、

「現金で贈与すると、すぐに使ってしまうかもしれないので、

 少人数私募債を1口単位で贈与することにしました。」

とのことでした。

 

確かに、社債で贈与する方が、

もらう側としたら使いづらいし、そのまま残りやすいです。

「贈与税はどうしたんですか?」

とその経営者に尋ねました。

「私から息子たちに現金を渡して払わせました。」

とのことでした。

直系への贈与であれば、贈与税の控除額も大きくなります。

500万円の贈与で贈与税は約50万円、概ね10%です。

その経営者は、それを数年にわたって、

子供たち数人へ贈与されていたのです。

 

贈与を受けた子供たちには、

その社債金額が、会社から償還されてゆきます。

数年の時間をかけて、その経営者は少人数私募債が

丸ごと相続財産になることを回避していったのです。

少人数私募債は1口単位なので、

贈与するにもやりやすかった、ということもあったと思います。

 

少人数私募債の名義変更をするには、

取締役会の承認さえあれば可能です。

それに、この経営者には子供が数人いたからできた、

というのもあるかもしれません。

それぞれに、自分にあった対策をすればよいのです。

 

(古山喜章)

 

2024年7月 8日 (月)

少人数私募債の相続対策①

ブログ読者の方より、

「高額退職金を受けたあとの、

少人数私募債の相続対策はどうすればいいんでしょうか?」

とのご質問をいただきました。

その対策として、

考えられることを、書かせていただきます。

 

①少人数私募債とは何か

 

はじめに改めて、少人数私募債とは何か、です。

会社が発行する社債のひとつです。

社債を引き受けるのは、親族や従業員、取引法人など、

身内のものです。

少人数という言葉のとおり、少人数私募債の発行に際して、

引受人として声を掛けるのは、49人までです。

1人でも構いません。

 

取締役会の決定だけで発行することができ、

行政機関への申告などは必要ありません。

社内だけで完結できます。

取締役会がない会社の場合は、株主総会の決議で発行します。

 

「銀行が勧めてくる社債とは、どう違うんですか?」

とよく質問されます。

銀行が勧めてくるのは、“金融機関引き受け社債”です。

会社が発行した社債を、銀行が一括で引き受けます。

その発行や金利支払いに関することまで、

引き受ける銀行が手続きの一切を担います。

そのため、手数料がバカみたいに高くなります。

 

少人数私募債は、

金融機関やその従事者は、引受人にはなれません。

あくまでも、身内のもの、という前提です。

金利は3%~5%で設定できます。

銀行金利より、はるかに高い金利です。

それが可能なのは、

手持ちのお金を会社に預ける直接金融であることと、

少人数私募債は弁済順位が低い劣後債である、

ということが理由です。

 

人様からあずかったお金を貸して金利を稼ぐ銀行は、

間接金融であり、金融の種類が異なります。

だから、少人数私募債の金利とは全く違うのです。

退職金を受けた後、月額報酬はガクンと減るものの、

少人数私募債の金利でその穴埋めをしている、

という経営者が多いのです。

 

加えて、少人数私募債のいいところは、

銀行の評価では自己資本とみなされることです。

少人数私募債は弁済順位が低い劣後債なので、

負債ではあるものの、身内による出資性が高い資金とみなされます。

『資本性借入金』として、自己資本同様と評価されるのです。

 

社債としての償還期間は概ね、5年~7年で設定します。

多くの場合、償還時に一括返済とします。

「5年後、7年後に返せない場合はどうなるんですか?」

とよく聞かれます。

その場合は、第2回少人数私募債を発行し、更新してゆきます。

発行して一年経過後からは、取締役会での承認を得れば、

部分的に解約できます。

 

ただし、少人数私募債のままで会社に置いておくと、

相続財産となることには違いがありません。

それをどのようにして、相続財産から切り離してゆくのか、

については、明日以降に書かせていただきます。

 

(古山喜章)

 

2024年7月 5日 (金)

相続時精算課税制度が変わる⑤

これまでお話してきた相続時精算課税制度ですが、

2024年1月以降の贈与分から、制度が改正されました。

 

主なポイントは、

相続時精算課税に係る、年間110万円の基礎控除ができた、

ということです。

 

この相続時精算課税をつかったときの注意点は、

色々とありますが、ここでは、詳細は割愛します。

 

一点、大きな注意点ですが、

この制度を使った場合は、

それ以降、暦年贈与は使えません。

 

つまり、相続時精算課税を使うか、

暦年贈与を使うか、二者択一です。

併用はできません。

 

ただし、例えば、父親からは相続時精算課税を使い、

母親からは、暦年贈与を使う、

ということは、選択できます。

 

この場合は、今年から、

相続時精算課税でも、110万円の非課税枠ができたので、

もともとの、暦年贈与の110万円と合わせて、

220万円の非課税枠が生まれます。

 

相続時精算課税を使ったほうが良い場合、

暦年贈与のほうが良い場合、

これは、オーナー、あるいは、後継者、はたまた、

一族の置かれた状況によって、変わってきます。

 

実際に、使う場合は、

顧問税理士の先生とも、

十分に協議してください。

 

(福岡雄吉郎)

2024年7月 4日 (木)

相続時精算課税制度が変わる④

これまでお話してき相続時精算課税制度ですが、

2024年1月以降の贈与分から、制度が改正されました。

 

主なポイントは、

相続時精算課税に係る、年間110万円の基礎控除ができた、

ということです。

 

110万円と聞いて、ピンと来られた方もいると思います。

通常の贈与制度(暦年)の非課税枠ですね

 

これが、相続時精算課税でも、新しくできた

ということです。

 

相続時精算課税を使う人(贈与される側)は、

年間110万円の贈与財産については

贈与税がかかりません。

 

また、暦年贈与制度とは異なり、

相続開始前に贈与された財産があったとしても、

この110万円以下であれば、相続財産に加算する必要はありません。

 

暦年贈与制度を選択した場合は、

相続開始前に贈与された財産は、

110万円以下であったとしても、相続財産に加算されてしまいます。

 

相続開始前に贈与された財産が

相続財産に加算されるという話ですが、

これも、今回の税制改正で、

これまでの3年から7年に改正されています。

 

みなさん、同じように考えて行動されます。

高齢になっても、贈与を積極的にされず、

亡くなる直前になって、相続税対策として、

焦って贈与を行うのです。

 

国としては、これは認めませんよ、

ということで、これまでは、亡くなる3年以内に贈与した財産は、

相続財産として持ち戻され、相続税が計算されていました。

 

しかし、この3年というのは、

諸外国に比べて短いため、

税制改正で7年前までさかのぼる、

ということになったのです。

 

(福岡雄吉郎)

2024年7月 3日 (水)

相続時精算課税制度が変わる③

今年の税制改正で、

「相続時精算課税制度」の改正がありました。

 

「相続時精算課税制度」のメリットは、

この制度を使った時点で、

財産の評価額を確定できる、ということだとお伝えしました。

 

この制度を使った時点で、財産の金額に応じて

相続税の前払(=贈与税)が発生するわけですが、

このときに支払う税金には、2,500万円までは無税、

2,500万円を超える部分については、20%の税金を払う、

ということになっています。

 

これが2つ目のメリットです。

 

例えば、株式承継の場面を考えてみます。

色々な会社で、事業承継に携わってきましたが、

意外にも、後継者には「お金がない」というケースが多いです。

 

退職金を出したり、オフバランスをしたり、

特別損失を巨額に出して、

株価が2,500万円以下に抑えられれば、

一旦は、後継者が一銭も出さずに、

株式の移転が行えるのです。

 

もちろん、将来、オーナーがなくなったときに、

相続税が再計算されるわけですが、

目先、とりあえず、株式を移したい、

という場合は、メリットとなります。

 

また、同じようなケースで、株価4,000万円の

株式を移した場合は、どうでしょうか?

 

この場合は、(4,000万円 - 2,500万円)×20%

300万円の税金を後継者が払います。

 

これが相続時精算課税制度の概要です。

 

(福岡雄吉郎)

2024年7月 2日 (火)

相続時精算課税制度が変わる②

今年の税制改正で、

「相続時精算課税制度」の改正がありました。

 

「相続時精算課税制度」のメリットは、

この制度を使った時点で、

財産の評価額を確定できる、ということです。

 

通常、相続財産の評価は、

相続が発生した時点(オーナーが亡くなったとき)の評価額になります。

当然ですね。

 

しかし、この制度では、

将来の相続財産の評価を、

現在の評価額で固定化できる、ということなのです。

 

わかりやすいのが自社株式です。

 

いま、株価が1株 10,000円とします。

これから、高額退職金を払った結果、

株価が、5,000円まで落ちたとします。

 

一時的に、大赤字を出したため、

株価が下がりましたが、

来年以降は、また、株価は高くなってしまいます。

 

このときに、相続時精算課税を使うと、

使った時点で、贈与税が発生します。

このときは、1株5,000円で株式を評価して、

計算します。

 

 

これで、株式は、オーナーから、子供に移転しました。

子供は、贈与税を支払います。

 

そして、この制度を使ってから、10年後に、

オーナーが亡くなったとします。

そのときの、自社株評価額は、

1株10,000円に戻っていたとします。

 

この場合は、どうなるでしょうか?

 

相続時精算課税を使っていた場合は、

オーナーが亡くなったときに、

自社株式を含めて、改めて相続税が計算されます。

 

ただし、このとき、自社株式の評価額は、

亡くなったときの、1株10,000円ではなく、

この制度を使った時点の、5,000円で評価できる、

ということです。

 

(福岡雄吉郎)

2024年7月 1日 (月)

相続時精算課税制度が変わる①

今年の税制改正で、

「相続時精算課税制度」の改正がありました。

 

「相続時精算課税制度」

難しい言葉で、ご存じない方も多いと思いますので、

改めてご説明します。

 

相続時精算課税制度の内容は次のとおりです。

 

(概要)

・この制度は、簡単に言えば、「相続税の前払い」です。

 

・この制度を使えば、財産の贈与が行われたことになり、

 贈与税が発生します。

 

・60歳以上の父母または祖父母から、

18歳以上の子・孫への生前贈与で使えます

 

・贈与額25百万円までは、贈与税はかかりません。

 

・贈与額25百万円を超えた分については、

 一律、20%の税金がかかります。

 

・その後、オーナーに相続が発生した場合は、

この制度を使ってオーナーが贈与した財産と、

オーナーのその他の財産を合計した価額を基に

相続税額が計算されます。

 

・財産を相続する子供の立場から見ると、

既に支払っている贈与税額は、

このとき(=オーナーが亡くなったとき)に計算された相続税額と、

相殺され、差額が精算されます。

※これが、“相続時精算課税”と呼ばれる理由です。

 

(福岡雄吉郎)

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