支払いの美学⑤
支払いに関する社長の美学が
垣間見えるのは、他にもあります。
関西地方の鉄鋼商社での話です。
血縁関係のない元社長、元専務から、
株式を買い取るべきか?
また、買い取るなら、すべて買い取るのか?
そして、買い取る場合、いくらで買い取るのか?
私の意見としては、
「社長、2人からは、
1株80万円で買われてはいかがですか?
売った方は、過去1株売ったというのは、
ずっと記憶していると思います。
2人合わせると、その価格は、
2億円は超えますが、
御社には、手元現金もありますし、
これから、もっと株価はあがっていくと思います。
色々と考えると、
一部買取ではなく、
全株買取で、一気に買い取ってしまいましょう。」
こう伝えました。
この社長の偉かったのは、
「わかりました。その値段で買います。」
と即断即決したところです。
あとは、元社長と元専務、
どちらに先に話をもっていくか?
など、細かいことを打合せしました。
しかし、最後まで、
「本当に買取交渉はうまくいくのかな?
ややこしいことにならないかな?」
と心配をしていました。
結果的に、社長の申し出は、
快く受け入れてもらえ、
逆に、感謝の言葉ももらえました。
本当は、ここに至るまで、
色々とあったのですが、詳細は割愛します。
ひと段落した後は、社長曰く、
「長年の懸案事項が解決して、本当に良かった。」
と胸をなでおろしていました。
うまくいったのは、
社長の人柄、経営手腕、また、何よりケチらない、
という社長の美学のおかげだったと思います。
(福岡雄吉郎)
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