簿外資産を蓄えなさい⑤
貸借対照表には記載されない資産を、簿外資産と言います。
決算書には記載されない資産なので、
言い方を変えれば、会社の埋蔵金です。
この埋蔵金がいくらかでもあれば、
不測の事態の際に、助かるのです。
⑤即時償却も簿外資産です。
ICOでは、
即時償却を活用しなさい!と言い続けています。
設備投資を行った際に、単年度で全額を償却できる優遇税制です。
このブログでも、たびたび書かせていただいております。
私たちICOとすれば、優れた税制なのに、
中小企業では思ったほど活用されていないのが実態で、
こんなにいい手を使わない手はない、と奨めているのです。
全額を単年度で償却する、ということは、
全額を一気に損金計上することです。
今ではなくなってしまった、生命保険の全額損金計上と、
考え方は同じなのです。
「全額損金の保険が亡くなって節税策がなくなった!」
と嘆くのであれば、即時償却を活用すればよいのです。
例えば、耐用年数7年の設備を購入すれば、
通常の減価償却費は、最初の一年分です。
一年分を損金計上し、残りの金額は、資産計上となります。
貸借対照表に記載され、翌年度からあと6年間、
減価償却費を計上し、資産計上の額が減ってゆきます。
これを即時償却すれば、導入した年度に全額を損金計上します。
通常の減価償却よりも、6年分を多く減価償却費として、
先行的に損金計上できるのです。
上乗せ分の減価償却費は特別損失とて計上すれば、
営業利益や経常利益には、影響ありません。
税引き期前利益が減るだけです。
先行的に損金計上した減価償却費は、いわば簿外資産です。
貸借対照表には記載されません。
が、例えばM&Aで資産価値を算定する際には、
その簿外資産となった即時償却分を資産として再計算します。
貸借対照表からは消えているけれど、
その資産はあるもの、として計算するのです。
決算書内には持っていないけれど、
持っているものとして、算定されるのです。
設備投資を即時償却し、固定資産を簿外資産として持つ。
これも、持たない経営のひとつの形なのです。
(古山喜章)
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