「金利ある世界」に踊らされてはいけない①
7月末、日銀の決定会合で金利を0.25%引き上げる、
ということが決定発表されました。
「金利ある世界」になった、とマスコミもネットも、
危機感をあおるように報道しています。
しかし、まだまだ慌てることはないのです。
①慌てるほどの金利ではない
2024年度に入り、
東京の銀行間での取引金利であるタイボ
(Tokyo InterBanking Offered Rateの略称)は、
過去15年にはなかった動きを見せました。
1月 4日 0.06545%
3月29日 0.19273% マイナス金利解除
7月 1日 0.19364% 4月以降しばらく停滞
7月31日 0.26000% 金利0.25%引き上げ決定
8月 2日 0.33636%
年始からの7ケ月で、0.27%、上昇したことになります。
それも、この数日で一気に上昇しました。
しかし、
今から16年前の2008年、タイボは概ね0.7%でした。
その年のリーマンショック以降、タイボは大きく下がり始めたのです。
その超低金利が、これまでの約15年間、続いてきたのです。
こうなると、誰しも超低金利に慣れきっています。
少し上がっただけでも「金利が上がってきた!」と大騒ぎになります。
上がったとはいえ、リーマンショック前の半分なのです。
大騒ぎするほどのことではないのです。
おそらく、まだ上がるでしょう。
先般の日銀決定会合では、2025年も物価は上振れ、
2026年は横ばい、と予測しています。
その流れでいけば、日銀はさらに0.25%は上げてくると考えるのです。
おそらく、タイボは16年前の0.7%程度まで、
戻ってゆくことが予測されます。
とはいえ、その当時でも、
「銀行借入金利は、タイボ+スプレッド(上乗せ金利)で
交渉しなさい!」
とICOでは言い続けていたのです。
タイボ金利が0.3%や0.7%になったからといって、
「固定に切り替えたほうがいい!」
と慌てて決断するほどのことではないのです。
そのまま欧米のように、
4%前後まで日本の金利が上がるかと言うと、
今の日銀ではそこまで金利上昇をさせることはない、
としか思えないのです。
長かった超低金利のデフレ基調とは、異なる経営環境に
なってきたのですから、金利が多少上振れるのは、当然なのです。
(古山喜章)
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