「金利ある世界」に踊らされてはいけない④
7月末、日銀の決定会合で金利を0.25%引き上げる、
ということが決定発表されました。
「金利ある世界」になった、とマスコミもネットも、
危機感をあおるように報道しています。
しかし、まだまだ慌てることはないのです。
④銀行はまだまだカネ余りです
7月27日の日経新聞で、
“2年連続で設備投資が最高額となった。年間33.3兆円!”
という記事がありました。
その設備投資をけん引するのは、自動車やIT産業です。
業績がよかった業界が、稼いだお金を原資に投資しています。
一見すると、経済が活発に動き出し、資金需要が高まってきた、
全国的に設備投資がどんどん動き出した、と思わせる記事です。
しかし、この数字は上場会社の調査結果です。
中小企業は価格転嫁も十分ではなく、
積極的な設備投資を行っている会社は、まだまだ少ないのです。
一方、7月4日に政府から、
コロナ禍での国家支出総額が公表されました。
令和元年から令和4年度までの数字ですが、
合計で約92兆円です。
実質的には令和5年の上半期までは支出しているので、
おそらく全部で100兆円くらいになると思われます。
約100兆円のお金がコロナ禍の5年間でバラまかれたのです。
コロナ融資、雇用調整金、医療補助金、等など。
それらはすべて、どこかの銀行に停滞しているはずです。
設備投資で動きだした年間33兆円どころではない金額です。
銀行には、まだまだお金が余っているのです。
それではまずいから、
「そろそろ設備投資はいかがでしょうか?今ならお貸ししますよ。」
などと売り込みに来るのです。あるいは、
「金利が上がる前に固定でお借りになられてはどうでしょうか?」
などと言ってきます。
銀行にはお金がまだまだ余っているし、
金利も小幅上昇はあっても、大幅上昇はまだまだ先です。
この株価大暴落で、その傾向はますます強いです。
本当に金利が上昇するのは、お金を借りたい会社が増えて、
銀行のお金が足らなくなってきた時です。
今はまだ全く、そのような局面ではないのです。
(古山喜章)
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